サッカー、海外生活、そしてワールドカップ(W杯)について、
フランスの1部リーグに所属する松井がW杯を目前に語った。
(Interview et texte : Ryoko Umemuro)
5月10日、サッカーW杯南アフリカ大会の代表選手発表日。フランス時間午前7時、フランス東部グルノーブルにある自宅で松井大輔は岡田武史代表監督が告げた自分の名を耳にした。この時の気持ちを「正直、ほっとした」と言う。
困難な道を選び続けてきたサッカー 選手はこの時、世界最高のピッチに立 つチャンスを手に入れた。
フランスのサッカー
松井がフランスに渡ったのは2004年9月、パリから南西へ200km程の場所に位置するプロサッカークラブチーム、ル・マンへの移籍によってだ。23歳だった。
欧州チャンピオンズリーグの結果などを通じフランスのサッカーを知る人にとって、イングランドやスペイン、イタリア、ドイツと比べフランスのリーグは格下と映るかもしれない。しかしだからといって、実力のある日本人選手がすぐに活躍できる場所であるかといえばそうではない。
フランス人を形容するとき、よく「個人主義」という言葉が使われる。サッカーでも同じようなところがあり、1対1で勝つことのできる技術と身体能力が要求される。フランス・リーグの試合を見ていると、スピーディーに駆け巡る試合展開の中で、まるで人生を賭けたかのような1対1の一瞬の死闘にゾクッと全身を緊張させることがある。特にアフリカ系の選手が多いため、フィジカルの強さは必須だ。結果を残すためにはまず、日本人選手が努力では克服できないような先天的な体格差を持つ選手がしかける激しい当たりに勝たなければならない。事実、これまで多くの日本人選手がフランスのクラブと契約を交わしているが、成功者としてフランス国内で評価を得ているのは、現在のところ松井大輔だた一人だ。
松井は言う。「フランスのサッカーでは個人の能力が重視されます。一人一人が何でもできる、というのがフランスサッカーにおける能力なんです。その中でも1対1というものがものすごく厳しい。取るか取られるか、1対1で勝ってやる、もうそこしか見ていないですね」。2004年当時のル・マンが属していたフランス2部リーグは、技術的には見劣りする分、当たりがものすごく激しかった。それを目の当たりにした松井は、フィジカル面の強化に努める。こうして、激しい当たりに負けない肉体的な強さを身に付けた上で持ち前の技術を発揮、イマジネーション豊かなプレーを繰り広げ、松井は結果を生み出していく。松井の活躍によりル・マンは1部に昇格、松井は「ル・マンの太陽」と謳われた。長く険しい冬が明け春の青空が広がると、こんなにたくさんの人がいたのかと思うほど、多くの人々が太陽を求め外にあふれる。そんなフランスを経験した人にとって、この言葉がどれほどの意味をなしているか、想像に易いだろう。

フランス・リーグ1部トゥールーズ ー ル・マン
海外でプロとして居続ける
現在、海外のプロサッカーチームに50名以上の日本人選手が所属している(2部以上)が、その中でも松井は6シーズンと長くプロとして海外のグラウンドに立ち続けている。松井自身にとっても日本のJリーグよりも長いシーズンをフランスで送った。
しかしすべてが順風満帆だったわけではない。勝ち方を忘れてしまったかのようなチームの連敗やケガに苦しんだ時、試合に出られずベンチを温め続けた日々もある。言葉、生活習慣、価値観、さまざまなものが日本とは異なる海外でモチベーションを高く維持するために、松井は常に「何事もポジティブに」考えた。都度、ポジティブに考えながら現実を受け止め、その時々できる限りの努力を惜しまずにやってきた。また、「毎回プレーでストレスもたまったりするので、買い物や音楽を聴く」ことによって気持ちのバランスを維持する。海外でプロのアスリートで居続けるためには「サポーターに気に入られることが大事」とも言う。
現在、松井はさまざまなチームからオファーを受けているが、次の所属先は全く決めていない。W杯の後に、「自分を必要とし、自分が最も信頼できるチーム」に行きたいと考える。「うまい選手が集まるところで成長したい」と海外のリーグを望むが、特にフランスのチームというこだわりはない。

グルノーブル・フット38に移籍後、監督と初対面
「フランスが僕を育てた」
15歳でフランスのクラブチーム、パリ・サンジェルマンの練習に参加し、21歳の時にはU-21の日本代表として戦ったトゥーロン国際大会で日本最高成績の3位、松井個人はベストエレガント賞を受賞した。その他日本代表選手として国際試合に参加する中でパリは比較的多く立ち寄る街だった。しかし、ル・マンと契約を交わす以前、松井にとってのフランスは「パリというイメージ」、ただそれだけ。フランス・リーグにもフランスにもさしたる思い入れはなく、言葉も話せなかった。
6年近くをフランスで過ごした松井に改めてこの国について聞くと、まっ先に返ってきたのは「不便に慣れましたね」という答え。「1カ月インターネットがつながらない。お湯が出ない」。松井や筆者だけでなく、フランスで生活したことがあれば、この「不便さ」を身にしみて感じる人も多いのではないか。何せ、「ガス、電気、水、どれが止まると一番困るか」という議論が、当たり前に起こり得る問題として日常会話の中に成り立つ国なのだから。松井は言う、「僕だけではなくて、フランス人も同じ環境なんですよね」。
サッカー選手としてだけでなく、人間として成長した。「どれだけ日本人が恵まれた環境で育っているかということを、改めて分かりました。それは僕にとってすごく良かったです。何でも人にやってもらうのではなく、一人の人間として自立心を持つということ。そういう意味では、僕を育ててくれたのはフランスという国です」。人生観という意味でも松井の考えはこの地で変化した。「何のために生きているのかという意味でも、例えば家族を大切にする、バカンスを大切にするフランス人はすごくいいと思います」。松井自身もバカンスを大切に過ごす。欧州ではいろいろな場所へ旅行で訪れた。フランスのおすすめの場所は「南ですね」とのこと。まだ訪れていないサントロペへはぜひとも行きたいという。

グルノーブル・フット38の
オフィシャルブティックで開かれたサイン会
W杯にかける思い
2006年、W杯ドイツ大会では代表に選ばれなかった。月間MVPに選ばれるなど、ちょうどフランスで活躍し、代表入りを有力視されていた中で味わった悔しさ。4年の時を経て代表に選ばれた今年、異国で困難の道とも見られるような挑戦をし続けた松井はサッカー選手としても人間としても4年前よりも大きくなっていた。
「サッカー選手としては本当に出たい大会」と言う松井は、「(W杯の舞台で)サッカーで何か松井大輔という人間を表現できればと思っています」と意気込みを語る。
岡田監督は代表発表の記者会見で「日本人らしいサッカーをしたい」と語った。これまで代表選手としてプレーをしてきた松井は岡田監督の考える「日本人らしいサッカー」を「全員攻撃、全員守備という全員サッカー」と説明する。「(大会期間中南アフリカは)冬ですし寒いでしょうから、体力という意味でも走り勝つことができると思っています」。その日本代表における自身の役割については、「フランスでもやっている通り、自分の武器はドリブルや1対1、そして局面の打開。それらをしっかりとやり、最後は突破できるように。それと、しっかり守ることが大事」だと考える。だが先に述べたように、岡田監督の考える「日本人らしいサッカー」は個人の能力を重視するフランスのサッカーとはいくぶん異なるようにも思える。それについては「日本チームの団結力、皆で協力し合うチームワークの中に僕個人の能力をうまく取り入れたい」と言う。だからこそ試合までの残された期間では「コミュニケーションを取る」ことに重点を置きたいと考えている。「いろんな人としっかり話し合うことによってチームワークも上がってくるし、最終的に今はそういう段階だと思っ ています」。
各国の代表クラスの選手が名を連ねる1部リーグで、所属するグルノーブル・フット38の中心選手として昨シーズンを送った松井は自信をもって言う。「フランスのリーグにもいろんな国の人がいますし、いつも外国人とやっている。そういう意味では、日本でやっている人たちよりも臆することなくいつも通りのプレーができると思っています」。

アジア杯サッカー最終予選・日本-バーレーン
「苦労した分だけ返ってくる」
欧州に暮らす読者へのメッセージを聞くと、返ってきたのはスターとしてのそれではなく、海外で自ら戦いを続けそして夢をつかんだ青年の言葉だった。
「僕たちは海外という、言葉も違えば文化も違う場所にいて、それぞれ皆さん本当に苦しい思いもしていると思うんですね。これは、日本に居る人には分からない、海外に行った人にしか分からないことだと思います。でも、人間は苦労をすれば何かを得ていく、苦労した分だけ自分の中に返ってくると思うのです。いろんな大変なことはありますけれど、最終的な目標に向かって、みんなでがんばっていきましょう」
フランスに来て得たものの中で最も大きかったものは何か。穏やかな口調で、しかし確信を持って松井は言った「自信ですね」。
「ここまでやってきたという自信が一番大きいです」
異国の地で自ら厳しい道を選び続け、そのたびに成長を手に入れていった松井は6月、自信を胸にサッカー最高峰のグラウンドに立つ。
1981年5月11日、京都府生まれ。MF。鹿児島実業高校卒業後、2000年京都パープルサンガ入団。2004年フランスのル・マンにレンタル移籍。2005年完全移籍。2008年ACサンテティエンヌに移籍。2009年よりグルノーブル・フット38に所属。
www.matsuidaisuke.net
1892年グルノーブル初のフットボールクラブとして創立。2004年以降日本企業インデックスがオーナーに。松井の他、伊藤翔が在籍。スタッフにも日本人がおり、松井いわく「家族的なチーム。チーム、サポーター、生活環境すべてに感謝している」。www.gf38.fr



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あらすじ 黒澤明監督による数少ない現代劇。市役所での仕事を無気力にこなす中年男性が、ある日、自分の体が胃がんに侵されていることを知る。絶望のあまり、無断欠勤して酒に溺れるようになるが、やがて仕事に本腰を入れて取り組み始めるようになる。

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あらすじ カンヌ国際映画祭に出品した「誰も知らない」で主演の柳楽優弥が最優秀男優賞を受賞したことなどにより、今や世界的な知名度を築いた是枝裕和が手掛けた作品。15年前に亡くなった兄の命日に、実家へと帰省した失業中の男を主人公に据えている。

あらすじ 電車の中で酔っ払いに絡まれた女性を助けた男性が、その女性との交際を始めるまでの紆余曲折を描いたラブストーリー。インターネット掲示板への書き込みを基にして作られたとされており、ほかに小説、ドラマ、漫画など様々な媒体でこの題材が扱われた。(写真右:映画や書籍の原作となった、「電車男」の まとめサイト)

あらすじ 「市」との名を持つ盲目の浪人を、昭和の名俳優、勝新太郎が演じて人気を集めた時代劇シリーズのリメイク。時代劇であるにも関わらず、主人公の市が金髪、碧眼、ジーンズといった出で立ちをしているとした、斬新な演出が評判を呼んだ。


















井上 馨(聞多)
山尾 庸三
井上 勝(野村 弥吉)
伊藤 博文(俊輔)
遠藤 謹助









アンビエント系フェスとして始まったこのイベントも、15年以上の時を経て、音楽的にはよりクロスボーダーな様相に。毎年、インタラクティブでユニークなイベントが取り入れられており、これが今や同フェスの特徴の一つになりつつある。というわけで今年話題をさらっているのは、米国の写真家、スペンサー・チュニックによるインスタレーション。無数の裸体を被写体とした圧巻の作品群は世界中で高い評価を得ており、この3月にはオーストラリアのシドニーで5000人のボランティアを集めて撮影を行ったばかり。そして今回なんとこの「Big Chill」の会場で、衝撃のアートが生まれる瞬間が披露されるのだ。美しい自然環境下での撮影とあって、アーティスト本人も非常に楽しみにしているそう。
夏の間、週末ごとに何らかのフェスティバルやイベントが開催される、イースト・ロンドンはハックニーのビクトリア・パーク。8月最後の週末を飾るのは、ロンドンの最新エレクトロニック・ミュージック・シーンが投影されたこの「L.E.D Festival」だ。記念すべき第1回目となる今年、ヘッドライナーを務めるのは、これが今夏唯一のロンドン公演となるフランスの大御所ハウスDJ、デービッド・ゲッタと、今年約10年ぶりに活動を再開したロンドンのエレクトロニカ・デュオ、レフトフィールド。カルバン・ハリスがライブ・セットを披露するほか、エイフェックス・ツイン、ソウルワックス、フレンドリー・ファイアーズといった脂ののったアーティストが脇を固める。
インバネスから17キロほど西に位置するビューリーという町の近郊で開催される、恐らく英国最北端のフェス。16世紀にこの町を訪れたスコットランドのメアリー女王が「なんと美しい場所でしょう」とフランス語で言ったのが訛って、現在のビューリーという地名が付いたという逸話が残るだけに、一帯の景色の美しさはお墨付きだ。5つのステージでバラエティー豊かな90以上のパフォーマンスが催される予定で、世界的に有名なバンドからローカルなアーティストまで幅広く出演するが、年齢を問わず楽しめる60年代スタイルのメロウなフェスを再現したいという主催者側の思いがあり、全体的にローファイ志向なのが特徴。ユニークなコスチュームを競い合う参加者も多いので、着飾って出掛けるのもいい。防寒対策はもちろん忘れずに。
数多くのシャワー、寝転がることができるほどきれいなトイレ、無用に歩かせない合理的なサイト・レイアウト……と、英国の野外フェスの常識を覆す要素がてんこ盛り。実はこのフェス、個人の誕生日を祝って25人の友人が集まり、プールのあるデッキでBBQパーティーを催したことがきっかけで始まったもの。一般向けのフェスとなった今でも、当初のプライベート・パーティーのホスピタリティーを失わないように努めているというのである。その証拠に敷地内にはシンボルであるプールが備わり、参加者は自由に利用できるという、うれしいサービス付き。毎年、テーマに沿ったセットデザインやアートワークが施されており、仮装する参加者も多い。ちなみに今年のテーマは「スタンドン急行殺人事件(Murder on the Standon Express)」。
レゲエの神様ボブ・マーリーが1978年に開催した伝説のコンサートの30周年を記念して、2008年に開始された英国最大のレゲエ & ダブ・イベント。緑豊かなロンドン近郊のカントリー・パークに、国内外から数多のミュージシャンが集結する。ヒーリング・スポットや討論エリア、レクチャーなども含め、3日間で100以上のアクトが催される予定。各国の料理が味わえるフード・コートやフェア・トレード・ビレッジなど、音楽以外のお楽しみも盛りだくさん。最終日の日曜に催されるカリビアン・カーニバルもお見逃しなく。
ロンドン北部のオアシス、ハムステッド・ヒースに隣接して佇むステートリー・ホーム、ケンウッド・ハウスの敷地内では、夏の間、ロックやポップスの野外コンサートが開催される。そんな中、8月末にシーズンのフィナーレとして行われるのが、このクラシック・コンサート「ケンウッド・プロムス」だ。今年は国立交響楽団にウェールズ出身のテノール歌手ウィン・エヴァンスと、「ブリテンズ・ゴット・タレント」で一躍脚光を浴びた弱冠14歳のメゾ・ソプラノ歌手ファリル・スミスをフィーチャー。コンサート終了後は花火も上がり、夏の終わりを華やかに彩ってくれる。
南はレディング、北はリーズの二都市で、3日間にわたって同時開催される英国最大級のロック・フェスティバル。今年はあのリバティーンズが復活ライブを行うことや、ガンズ・アンド・ローゼズの出演などが話題を呼び、通し券は既に売り切れ。1日券はレディング、リーズともにいまだ販売中なので、見つけたら即ゲットしよう。国内のその他の最大級フェスに比べてエンターテインメント要素が極端に少ないフェスだが、純粋に音楽を味わい尽くしたいロック・ファンには文句なしだろう。
「英国の庭」と呼ばれるケント州の、のどかな田園地帯に広がる約1.6平方キロの敷地で開催される「Hop Farm Festival」は、ミーン・フィドラーをはじめ、数々のヴェニューや音楽フェスを作り上げてきたプロモーター、ヴィンス・パワーが主催。ノー・スポンサー、ノー・ブランド、ノーVIPをコンセプトとして掲げ、誰もが平等に楽しめる、よりウッドストック的な、基本に立ち返ったフェスを目指す。ボブ・ディランからピート・ドハティまで、60年代に若者だった人から、現代のフォーク&アコースティック・ファンまでが満足できる、数より質と言わんばかりの厳選のラインナップも目を引く。ライブ・パフォーマンスは土曜に集中しているが、金曜から日曜までキャンプが可能だ(キャンプ代として一人£25が別途必要)。
2001年のグラストンベリー・フェスティバルで、アンダーグラウンドなエレクトロニック・ミュージックを紹介する目的で開催されたステージに端を発し、後にフェスとして独立した「Glade Festival」。7年目を迎える今も、そのエッジーなセンスはもちろん健在だ。昨年、会場をイングランド南東部ウィンチェスターに移し、より自由でロウな野外パーティーのバイブを実現。チケット完売のビッグ・イベントになりつつも、コアな雰囲気を保っているのが人気の理由だろう。10以上のステージ&テントで国内外の注目アーティストがライブ&DJを繰り広げるほか、エレクトロニック・ミュージックとクロスオーバーするインスタレーションやパフォーマンス・アートなどを紹介するコーナーも充実している。
ケント州カンタベリーで開催される「Lounge on the Farm」は、地域の温もりを感じるフェスだ。フード&ドリンク・エリアにそのこだわりは顕著に表れており、出店しているのは地元の人気レストランばかり。食材はすべてケント州およびイースト・サセックス州のサプライヤーから仕入れたものを用いるという徹底ぶりである。さらに特筆すべきは、コアな音楽ファンの心を掴む絶妙なラインナップ。インディー・ロックからジャズ、ポップ、ファンク、エレクトロニカ、ローファイ、パンク、ワールド・ミュージックまで、多岐にわたるジャンルから、今そしてこれから注目のアーティストを厳選していて、昨年のUKフェスティバル・アワードでベスト・ラインナップ賞を受賞したのもうなずける。バーレスク&ボードヴィル・ショーなども同時開催。
毎年9月にワイト島で開催されるアワード受賞のフェスティバル「Bestival」の姉妹版として、2008年に英国南西部のドーセットで開始された 「Camp Bestival」。世界遺産指定の美しいジュラシック・コーストを背景とした広大なルルワース城公園が、しばし夢のワンダーランドに変貌する。音楽ステージや各種アート&クラフト・プロジェクトのテント、森のシアターなど、より多彩な趣向を凝らした家族向けのアプローチが特徴。キッズ・エリアも充実しているほか、今年からベビーシッター・サービスも導入、子を持つ親への配慮は万全だ。今年の目玉は何と言っても、250年の伝統を誇る「Zippo's Festival Circus」の登場。手に汗握るアクロバティックな豪華パフォーマンスを披露し、フェスティバル・ムードを盛り上げる。
2006年の初回開催以来、着々と人気を高めているフェスで、英国東部サフォークの緑が生い茂る公園内の湖畔に、毎年約2万5000人の観客を集める。豊かな自然の趣を生かしたセッティングが魅力の一つで、ステージ間の移動がハイキングのように感じられること請け合いだ。さらに音楽のみならず、コメディー、シアター、映画、文学、ダンスまで、さまざまなアートやカルチャーを深く広く楽しめるのもいい。今年からベビーシッター・サービスの「キッズ・クラブ」を開始、より家族みんながフェスを満喫できる配慮がなされている。
今年4月に、米国ニューヨークでも開催されて話題を呼んだ「Track Festival」。利潤を追求せずに、スポンサーに頼らずとも地に足のついた運営を行うためのDIY精神を貫き、今年で13年目を迎える独立系地域密着型フェスの先駆けである。既に商業化していたグラストンベリー・フェスに反旗を翻す形で誕生した同フェスは、ウッドストックの自由さと村祭りのような温もり溢れるローカル感を湛えながらも、そのエッジーな音楽テイストがラインナップに見て取れる。ちなみに2008年からスタートした5月開催の「Wood Festival」は、同フェスの弟版。
もとは4人の友人同士で企画して始めたプライベート・パーティーが、たちまち話題となって規模を拡大。毎年、参加者の想像力と創造性を引き出すテーマがもたらされるというユニークな趣向で、2005年と2008年の二度にわたって「ベスト・スモール・フェスティバル賞」を受賞している。今年のテーマは「ファクト」と「フィクション」。湖や川もある広大な敷地内に、現実と虚構が交錯する仕掛けがふんだんに施される。これに音楽、パフォーマンス、ゲームなどが盛りだくさんに加わるという、まさに大人による、大人のためのテーマ・パーク・パーティーといった趣。
世界遺産に指定されているロンドン南東部グリニッジのOld Royal Naval Collegeの芝地で開催される、ジャズとビールの祭典。心地よいジャズの音色とともにほろ酔い気分に浸れる、まさに二度おいしい平和的な雰囲気漂うフェスだ。
美しい自然と変化に富んだ景観を持ち、ビクトリア時代に避暑地として栄えた、英国南部ハンプシャー州の対岸に浮かぶリゾート・アイランド、ワイト島。島の名を冠したこのフェスティバルは1968年に第1回目が開催され、3回目となる70年にはあのジミ・ヘンドリックスが出演して65万人の観客を動員、伝説として語り継がれる米国の野外フェス「ウッドストック」を超える世界最大の音楽祭として知られた。ほかにもドアーズ、マイルス・デイヴィス、ザ・フー、ムーディー・ブルースなど錚々たるバンドが出演を果たしたが、当時の風潮から入場料を払わない客が続出して赤字となったため、この年をもって閉鎖となる。そんな伝説のフェスが復活したのは、2002年のこと。以来、毎年恒例となり、国内外の人気アーティストが集結している。12回目となる今年は、ポール・マッカートニー、ジェイ・Zなどのビッグネームをはじめ、50以上のバンドやアーティストが登場。
ネス湖(Loch Ness)に引っ掛けたネーミングが明快で覚えやすい「RockNess」は、その名が示す通り、伝説の怪獣ネッシーで知られる湖を目の前にした絶好のロケーションで、世界一の美観を誇るフェスとの評判だ。2006年にスタートしたばかりの若いフェスだが、毎年規模を拡大する盛況ぶりを見せている。ダンス系からオルタナティブ・ロックまでカバーする、程よくポップなラインナップで、今年は初年度に登場して会場を大いに盛り上げたDJファットボーイ・スリムが再出演。また、コメディー・ショーケースが新たに加わる予定だ。
カーディフに次ぐウェールズ第二の都市、スウォンジーの湾岸沿いにあるシングルトン・パークに世界各地の人気DJが一堂に会し、毎年2万人のクラバーたちが集結する英国南西部最大のレイヴ・パーティー。メインのミュージック・ステージのほか4つのダンス・アリーナが備わり、40以上のDJが次々に登場する。今年は英国を代表するトランスDJグループ、アバブ&ビヨンドや、同じくトランス系のジャッジ・ジュールス、またスウェーデンのハウスDJ、スティーブ・アンジェロなどが目玉。敷地内には遊園地も設置され、お祭り気分満点だ。
UKフェスティバル・アワードで例年、ベスト家族フェスに選出されている、ファミリー・フレンドリーなフェス。ワールド & ルーツ・ミュージックからダンス系まで音楽のジャンルも多岐にわたり、各国の文化を丸ごと体感できるのがウリだ。期間中は敷地内に設けられた数々のヴェニューやテントで100以上のショーやイベント、クラフト・ショップが開催され、なかでもイングリッシュ・ナショナル・バレエ団とのコラボレーションによるワークショップや、英国の児童作家ロナルド・ダールのミュージアムが催すアクティビティーが耳目を集めている。
ロンドン中心部ストランド近くにあるプライベート・クラブで4月22日(水)、宮本亜門演出のミュージカル「ファンタスティックス」のキャストおよび製作チームとパブリシティー関係者の懇談会が開かれた。




稽古を始めてまだ数日だけど、(英国と日本の)ギャップを、良い意味で感じている。演出家としてのミヤモトは、役者に自由を与えてくれるタイプ。理屈を長々と述べるのではなく、シンプルかつ明確に演出指示を出してくれるやり方が、個人的にはすごく好きだね。
2003年、宮本氏が日本版「ファンタスティックス」の演出を手掛けた際に舞台美術を担当し、高い評価を受けた松井さん。2010年、ロンドン版でも引き続き、舞台美術を手掛けることになった松井さんに、現時点におけるチームの状況をうかがった。



















今回の総選挙の争点は、何といっても公共財政である。3月末発表の2010年度予算によると、2009年度の財政赤字は1670億ポンド(約23兆3800億円)と推算され、国内総生産(GDP)の11.8%にまで膨れ上がっている。これについて保守党は、財政赤字を放置しておくと、国の財政政策の信用性が失われ、景気回復が妨げられる結果につながると主張。政権を取った暁には、2010年度より早速、公共支出を削減し、次の総選挙実施(恐らく5年後)までに、構造的財政赤字の大部分を削減するとの方針を明らかにしている。
もちろん、財政赤字削減を達成する手段には、公共支出削減のほか、増税、行政業務の効率化による経費削減などもある。政府は、そうした手段の一つとして、昨年までに、国民保険(NI)の保険料を2011年4月から1%引き上げるとの計画を明らかにしていた。しかし今年3月末、保守党がこのNI引き上げの影響を一部緩和する案を発表。すると、保守党案の財源の信憑性や、政府の計画の景気回復への影響などを巡り、産業界も巻き込んで主要政党間で議論が沸騰。選挙戦の序盤はこのニュースで埋め尽くされ、今回の選挙の最大の争点が公共財政や税制であることを改めて実感させた。
今回の総選挙は、労働党の勝利が予想されていながら、最終的には保守党が4期目を達成した1992年以来、最も予測が難しいと言われている。支持率調査では、ブラウン首相の指導力の欠如や議員経費問題などが影響して2008年春頃から保守党が2けたのリードを維持し、同党の政権奪回が確実視されていた。しかし、2009年末頃から両党の差が縮小し始め、現在は結果の予測が不可能な状態になっている。そのため、起こり得る可能性として考えられているのが、労働党、保守党のどちらかが最大政党となっても、過半数の議席を獲得できず、自由民主党と連立政権を組むことである。労働党は今回、総選挙に勝利した場合、下院議員選挙の投票方法を現在の小選挙区制から「優先順位付連記投票方式」に変更する案について住民投票を行う方針を明らかにしているが、これは、かねてから小選挙区制に反対している自由民主党の考えに寄り添い、連立内閣への参加を誘うジェスチャーであると解釈されている。ちなみに自由民主党のヒューン内務担当スポークスマンは先日、ブラウン首相が党首を続けるのであれば、連立の可能性は薄いといった趣旨の発言を行っている。





2008年の政界復帰以来、「実質的な首相」と言われるほど重要な政策ブレーンとして活躍している。今回の選挙戦でも、かつて2度も閣僚辞任に追い込まれながらカムバックした執念と、「暗闇の王子」との異名を取ったこともある策略家ぶりで、愛する労働党を崖っぷちから救うべく奮闘している。なお、上院議員なので自分の選挙はなし。
サラ・ブラウン(46)
キャメロン党首と同じく富裕家庭出身で、同党首とお坊ちゃまコンビを組む。若さゆえか、他政党の古参政治家から軽んじられることもあり、国民保険に関する政策を発表した際は、自由民主党議員から「学生が考えたような案」と小馬鹿にされていた。労働党の選挙キャンペーンでは、歌手の名にひっかけて「ボーイ・ジョージ」と呼ばれている。
サマンサ・キャメロン(38)
テレビのニュース番組や下院での発言で、好々爺(こうこうや)的ルックスに似合わない洞察力に溢れたコメントの数々を放ち、圧倒的な存在感を見せつけている。キャリア・ウーマンの妻が選挙戦に同行してくれないクレッグ党首の傍らに常に寄り添い、「女房役」として大活躍中。労働党と自民党が連立政権を組んだ場合、閣僚入りする見込みについては否定している。
ミリアム・ゴンザレス・デュランテス(42)






