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Wed, 17 December 2025

LISTING イベント情報

ナロー・ボートで往くストラトフォード・アポン・エイボン

ナロー・ボートで往くストラトフォード・アポン・エイボン

産業革命時代に交通手段として使われていたナロー・ボート。
ストラトフォード・アポン・エイボンの牧歌的な景色を船上から眺めつつ、ボートの操縦やロック(閘門)の開閉に挑戦できる数時間のショート・クルーズに参加してみた。
*画像をクリックすると拡大します


7船を探検

7船を操縦&景色を堪能

7食事に舌鼓

About Narrowboat Guide

今回参加したのは、ストラトフォード・アポン・エイボン近郊で約15年にわたりナロー・ボート運営をしているというアンディーさん、淳子さんのブラウン夫妻が経営を行う「Narrowboat Guide」。ときに河岸を散歩し、ときにお2人からナロー・ボートの歴史や面白エピソードをうかがいつつ紅茶やコーヒーを味わう船旅は、のんびりゆったりしているのにあっという間に時間が過ぎてしまう。街の観光と併せてショート・クルーズを楽しむも良し、宿泊コースで地元のパブの夕食を楽しみながら船上で一夜を過ごすも良し。古き良きイングランドの水辺の生活を、ここストラトフォード・アポン・エイボンで垣間見てみては?

今回利用したコース

ショート・クルーズ(軽食付き)
12時30分:Wilmcote駅(Stratford-upon-Avon駅から2駅)より出発
15時30分:Wilmcote駅にて解散
*出発 / 解散場所はその都度異なるので要確認

このほか、1泊2日~10泊11日まで様々なコースあり。
料金は1人115ポンドから(利用人数、宿泊日数により変わるため要問い合わせ)。
定員4名。
Tel: 07899 998 334(日本語可)
Email: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.narrowboatguide.co.uk
*ボート上のインターネットの都合により、返信に数日かかることがあります


 

ストラトフォード・アポン・エイボンにお泊まりの際は
ムーンレイカー・ハウス Moonraker House

純英国スタイルに日本人ならではの心配り
駅から徒歩約5分という便利な立地が人気の4ツ星のゲスト・ハウス。

シェイクスピアの戯曲に出てくる登場人物の名が付けられたゲスト・ルームは、部屋ごとに雰囲気の異なるインテリアが特徴。青色で統一された「オーベロン」や、天蓋付きベッドがロマンティックな「ティタニア」など、ウェブサイトで写真を見ながら自分のイメージに合う部屋を選んでみよう。

地元産の食材にこだわった朝食は、ボリュームたっぷりなのに油控えめでさっぱりいただける。オーナーの大畑さんは、観光地はもちろん、景色の美しい散歩道や食情報にも通じているストラトフォード・アポン・エイボンの達人。大畑さんのアドバイスを基に街散策をすれば、より一層充実した旅を楽しめること間違いなしだ。

*画像をクリックすると拡大します

INFORMATION

宿泊料金
シングル:50ポンド〜、ツイン / ダブル:72〜88ポンド
ファミリー:95ポンド〜
*朝食込み、長期滞在割引あり

40 Alcester Road, Stratford-upon-Avon CV37 9DB
Tel: 01789 268774
Email: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.moonrakerhouse.com

 

ストラトフォード・アポン・エイボン - 「本当の英国」を感じる地方の旅

「本当の英国」を感じる地方の旅 ストラトフォード・アポン・エイボン

ストラトフォード・アポン・エイボン

通りの入口では、道化の像がお出迎え。立ち並ぶ店の看板を眺めれば、「The Food of Love」「Mistress Quickly」「As You Like It」と、おなじみの戯曲のタイトルや台詞、登場人物の名がずらり。ここ、ストラトフォード・アポン・エイボンは、言わずと知れた劇作家ウィリアム・シェイクスピア生誕の地だ。今年はシェイクスピア生誕450周年。街の至るところにシェイクスピアの面影が色濃く残るこの街で、シェイクスピアを知り、観て、感じる旅をしてみよう。

ロンドンからのアクセス:
London MaryleboneからStratford-upon-Avonまで列車で2時間強

ストラトフォード・アポン・エイボンとシェイクスピアの関係

City Sightseeing Stratford Upon Avonウィリアム・シェイクスピアは1564年4月23日、イングランド中部ウォーリックシャーに位置するストラトフォード・アポン・エイボンでその生を受けた(*1)。父のジョンは皮手袋職人で、羊毛取引などで財を成し、後には町長にまで登り詰めた地元の名士、母のメアリー・アーデンは、ジェントリー(紳士階級)出身。恵まれた環境で育ったものの、父親はシェイクスピアが10代前半のころ、地位も財産も失ってしまう。1582年には18歳で近隣の村ショッタリーにある農家の娘で8歳年上のアン・ハサウェイと結婚。3人の子供に恵まれたが、20歳のときに突如姿を消し、数年後にはロンドンの劇壇で活躍するようになる。

とはいえ、故郷とのつながりを断ったわけではなく、シェイクスピアはロンドンにいながらにして故郷に住む家族のため、地元での地位を確固たるものにしていく。1596年には父が望んで果たせなかった紋章申請が認可されてジェントリーに。その翌年には33歳という若さで地元で2番目に大きな邸宅「ニュー・プレイス」を購入。その後も広大な不動産を購入したかと思えば、440ポンドを投資して10分の1税(*2)の徴収権を得て、定収入を増やすことに成功。高額納税者として一族は死後、そろって地元教会の内陣に埋葬されることになる。

1613年、故郷へと戻ったシェイクスピアは、1616年4月23日、奇しくも誕生日と同じ日に死去した。才能が開花する前の青年期までと晩年を過ごしたこの地では、劇作家としてだけでなく、ビジネスマンや一家の長など、様々なシェイクスピアの横顔を見ることができる。

*1: 正式な生誕記録は残っていないが、洗礼日(26日)から推測されている
*2: 教会に対し収穫物の10分の1を納める税金
参照:「 シェイクスピア ハンドブック」(三省堂)

ストラトフォード・アポン・エイボンの地図(クリックすると拡大します)
ストラトフォード・アポン・エイボン地図

シェイクスピア1〜3シェイクスピアを観る

シェイクスピアの故郷でシェイクスピアの芝居を観る――舞台好きはもちろん、そうでない人にも心に残る体験となることは間違いない。シェイクスピア一族の家々を訪ねたあとには、彼の創造物を観ることでその思考をたどる旅に出るのも面白いのでは。


シェイクスピア1〜7シェイクスピアを知る

一族の家々や少年時代に学んだとされる学校、冠婚葬祭を司った教会など、この地にはシェイクスピア一家の生きた証が点在している。彼らの気配さえ感じられそうなこれらの場所を訪れれば、生身の人間としてのシェイクスピアを実感できるはず。

*Shakespeare Birthplace Trust
管理施設の営業時間は2014年夏季(11月2日まで)のもの

 

1〜3シェイクスピアを観る

1生誕地で観る芝居は格別
Royal Shakespeare Company & Theatres
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー&シアターズ

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー&シアターズエイボン川を臨み、街を睥睨(へいげい)するレンガ造りの堂々たる建物は、英国が誇る劇団ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが拠点にしている劇場。大・中・小の劇場を抱え、シェイクスピア作品はもちろん、現在はロンドンで上演中の「マチルダ」など子供向けのミュージカルなども制作している。観客の目と鼻の先で役者が演技を繰り広げ、ときに観客に語り掛けることもある張り出し舞台は迫力満点だ。

(写真)エイボン川に抱かれるように建てられた劇場

2あの名公演の裏話まで盛りだくさん
Behind The Scene Tours
劇場ツアー

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー&シアターズ現在上演中の芝居の大道具もそのままの舞台裏から客席、最高責任者が使用するコントロール・ルームに至るまで、劇場の隅から隅まで見ることのできる人気のツアー。芝居で使う血液や、役者の驚くべき早替えの秘密など、シェイクスピア・ファンでなくても満足できる充実の内容だ。

(写真)劇場内部を隈なく観て回ることができる

3知的好奇心と食欲をともに満たす
Rooftop Restaurant & Bar
ルーフトップ・レストラン&バー

ルーフトップ・レストラン&バー劇場上部に位置し、界隈を一望できるブリティッシュ料理レストラン。美しい盛り付けの料理の数々に舌鼓を打った後に芝居を観れば、身も心も満足できるはず。なお、壁の上部に3脚の椅子が貼り付けられているのが目につくが、これは改築前の劇場の客席をそのままの位置で残しているのだとか。

写真)景色も料理も堪能

1〜3
Waterside, Stratford-upon-Avon CV37 6BB
Tel: 0844 800 1110(Box Office)
Tel: 01789 403449(Rooftop Restaurant & Bar)
www.rsc.org.uk

 

エイボン川シェイクスピアが眺めた景色を歩く

シェイクスピアは、慣れ親しんだ地の景色を作品に投影することもあったという。柳が揺れるエイボン川のほとりを歩き、木々がうっそうと茂る小川を眺めれば、シェイクスピアの思考をほんの少し、たどれるかもしれない。

 
 

1〜7シェイクスピアを知る

1生まれ育った家で即興劇を
Shakespeare's Birthplace シェイクスピアの生家

シェイクスピアの生家街のシンボル的存在であるこの建物内でシェイクスピアは生まれ、結婚後数年して引っ越しをするまでの年月を過ごした。隣接するシェイクスピア・センターで世界各国のシェイクスピア関連書物やアートを観てから家の内部へ。庭では当時の衣装に身を包んだ役者たちが即興劇を繰り広げている。ときには観客も参加して、家の2階と庭で「ロミオとジュリエット」の一場面を演じることも。

(写真上)当時の裕福な暮らしぶりがうかがえる家
(写真下)役者たちはシェイクスピアの全戯曲の一場面を演じられるそう

Henley Street, Stratford-upon-Avon CV37 6QW
Tel: 01789 204016
月~日 9:00-17:00(6月30日~8月31日は17:30まで)
£15.90(子供£9.50、Hall's Croft、New Place & Nash's House、Shakespeare's Graveとの共通パス)
www.shakespeare.org.uk

メアリー・アーデンの農場2母親の生家は現役農家
Mary Arden's Farm
メアリー・アーデンの農場

郊外の村ウィルムコートに位置する、シェイクスピアの母親メアリー・アーデンの家は、現在も農場として機能しており、牛や羊、豚などが出迎えてくれる。あちらこちらで当時の衣装を身に着けた人々が会話しながらパンを焼いたり、洗濯をしているのが面白い。愛らしいフクロウのショーは子供たちに人気。

(写真上)何羽もいるフクロウはとってもキュート
(写真右)当時の手法でパンを焼く人たち

Wilmcote駅から徒歩10分
Station Road, Stratford-upon-Avon CV37 9UN
Tel: 01789 204016
月~日 10:00-17:00
£12.50(子供£8)
www.shakespeare.org.uk


3結婚前に何度も通った妻の生家
Anne Hathaway's Cottage & Gardens
アン・ハサウェイの家

アン・ハサウェイの家シェイクスピアの妻であったアン・ハサウェイの生家。こんもりと曲線を描いた茅葺屋根にハーフティンバーの壁面がチャーミングな家と広々としたガーデンが、牧歌的な風景をつくり上げている。花々が咲き誇るガーデンには、柳の小屋や、現代的な彫刻の数々も。シェイクスピアにヒントを得て作曲されたという音楽を聴きながら*、遊歩道をゆっくり散策してみよう。
*春夏の期間のみ、チケット・オフィスでヘッドフォンを貸し出している

写真)春から夏にかけては美しい花が咲き誇る

Bridge Streetのバス停から19番のステージコーチに乗り、Cottage Lane下車
Cottage Lane, Stratford-upon-Avon CV37 9HH
Tel: 01789 204016
月~日 9:00-17:00
£9.50(子供£5.50)
www.shakespeare.org.uk

4娘とその婿が住んだ知的な家
Hall's Croft ホールズ・クロフト

ホールズ・クロフトシェイクスピアの長女スザンナは1607年、地元在住の医師ジョン・ホールと結婚した。医者の家だけあって、内部には診察室があるのに加え、調薬器具、医療書などのユニークな展示物も。静けさに満ち、整然としたガーデンには、当時は治療にも利用されていたというハーブなどが植えられている。

写真)端正な外観が知的な雰囲気を醸し出す 写真)当時の診察室の様子を再現

Old Town, Stratford-upon-Avon CV37 6BG
Tel: 01789 204016
月~日 10:00-17:00
£15.90(子供£9.50、Shakespeare's Birthplace、New Place & Nash's House、 Shakespeare's Graveとの共通パス)
www.shakespeare.org.uk


5シェイクスピアはここで学んだ?
King Edward VI School エドワード6世校

エドワード6世校シェイクスピアが通ったとされるこの学校は、1295年創立の教育施設をエドワード6世が16世紀に再設立したものなのだそう。ブレザー服姿の生徒たちが闊歩し、バンドの音楽が鳴り響く校舎は、外から見る限りほかの学校と何ら変わりないが、シェイクスピアが学んだという教室(ビッグ・スクール)は、当時の面影そのまま。ごく限られた期間のみ一般公開され、現役の生徒のガイドで見学することが可能。

写真)シェイクスピアが座ったとされる席もある

Church Street, Stratford-Upon-Avon CV37 6HB
Tel: 01789 293351 
www.kes.net
*一般公開日は学校の公式ツイッターなどで直前に発表されるので要確認

6晩年住んだ家は孫の家と隣同士
New Place & Nash's House
ニュー・プレイスとナッシュの家

ニュー・プレイスとナッシュの家ナッシュの家は、シェイクスピアの孫、エリザベスが最初の夫、 トマス・ナッシュとともに住んだ家。ニュー・プレイスはシェイクスピアが晩年を過ごした家だが、18世紀に当時の持ち主が観光客の多さに辟易して取り壊してしまったため、現在見学できるのは低木を結び目のように交錯させたノット・ガーデンと、戯曲をモチーフにした彫刻が置かれたガーデンのみ。彫刻の裏側には台詞の一部が彫られているのが興味深い。

写真)まるで絵画のようなノット・ガーデン

22 Chapel Street, Stratford-upon-Avon CV37 6EP
Tel: 01789 204016
月~日 10:00-17:00
£15.90(子供£9.50、Shakespeare's Birthplace、Hall's Croft、Shakespeare's Graveとの共通パス)
www.shakespeare.org.uk

7生と死を見守った教会
Holy Trinity Church ホーリー・トリニティー教会

エイボン川のほとりに佇むホーリー・トリニティー教会は、シェイクスピアとその一族の誕生から結婚、死去に至るまでを見守り続けてきた。内陣の祭壇の前に並ぶのは、一族の墓。左から2番目に位置するシェイクスピア本人の墓の上には、「我が骨を動かす者に呪いあれ」という呪詛が刻まれている。向かって左側の壁には、シェイクスピアの胸像が。その右手に握る羽根ペンは、毎年彼の誕生日に新調されるのだとか。

ホーリー・トリニティー教会
(写真左)シェイクスピア一族皆が埋葬されている
(写真右)呪詛が刻まれたシェイクスピアの墓

Old Town, Stratford-upon-Avon CV37 6BG
Tel: 01789 266316
月~土 8:30-18:00(3、10月は9:00-17:00、11~2月は9:00-16:00)、日 12:30-17:00
www.stratford-upon-avon.org


 

ストラトフォード・アポン・エイボンの食

7Lambs

Lambs16世紀に建造された建物を利用した、地元民にも人気の高い落ち着いた雰囲気のレストラン。観劇前にはセット・メニューがお勧め。味もプレゼンテーションも抜群の料理をお手頃価格でいただける。

12 Sheep Street, Stratford-upon-Avon
CV37 6EF
Tel: 01789 292554
月・火 17:00-21:00、水~土 12:00-14:00、17:00-21:00、日 12:00-14:00、18:00-21:00
www.lambsrestaurant.co.uk

7Othello's Bar & Bistro

老舗ホテルであるシェイクスピア・ホテルの一角にある、モダン・ヨーロピアン・レストラン。16世紀の香りが漂う重厚な雰囲気を味わえる一方で、サービスはとてもフレンドリーなのがうれしい。夏季にはオープン・エリアでの食事も楽しめる。

Chapel Street, Stratford-upon-Avon CV37 6ER
Tel: 01789 269427
月~金 12:00-22:00、土 12:30-22:00
www.othellosbrasserie.co.uk

7Loxleys Restaurant & Wine Bar

Loxleys Restaurant & Wine Bar真紅の壁とシャンデリア、アンティーク家具が絶妙に溶け合ったこの店は、近年オープンしたばかりだが、既に地元では味の良いレストランとして名を馳せている。鮮やかな赤がまぶしいビートルートのリゾットなど、料理にもセンスの良さが感じられる。

3 Sheep Street, Stratford-upon-Avon
CV37 6EF
Tel: 01789 292128
月~土 9:30-23:00、日9:30-22:30
www.loxleysrestaurant.co.uk

7The Garrick Inn

ちょっと歪んだチューダー朝の建物に柱の彫物が何とも言えない趣を醸し出すThe Garrick Innは、ストラトフォード・アポン・エイボン最古のパブといわれている。1594年からサーブしているというリアル・エールをぐびりと飲めば、タイムトリップした気分になれるかも。

25 High Street, Stratford-upon-Avon CV37 6AU
Tel: 01789 292186
月~日 11:00-23:00

Shakespeare Birthplace Trust

シェイクスピア一族の家々やガーデン*を管理するチャリティー団体。管理下の5カ所をすべて回れる共通割引パスなどを販売しているので、ウェブサイトを参照してみよう。
*Shakespeare's Birthplace、Mary Arden's Farm、 Anne Hathaway's Cottage & Gardens、Hall's Croft、New Place & Nash's House
www.shakespeare.org.uk


シェイクスピアCity Sightseeing Stratford Upon Avon

中心部は歩いて回れるものの、郊外にあるアン・ハサウェイの家やメアリー・アーデンの農場は徒歩だと20~40分はかかる。時間に余裕がある人ならば散歩がてら歩くのも良いが、効率良く回りたいならば周遊バスを使うのがお勧め。バースプレイス・トラストが管理する5カ所を20~30分毎(季節によって異なる)に回っていて、自分の都合に合わせて乗り降りできる。
£13(子供£6.50。24時間乗り放題)


 

ストラトフォード・アポン・エイボンにお泊まりの際は
ムーンレイカー・ハウス Moonraker House

純英国スタイルに日本人ならではの心配り
駅から徒歩約5分という便利な立地が人気の4ツ星のゲスト・ハウス。

シェイクスピアの戯曲に出てくる登場人物の名が付けられたゲスト・ルームは、部屋ごとに雰囲気の異なるインテリアが特徴。青色で統一された「オーベロン」や、天蓋付きベッドがロマンティックな「ティタニア」など、ウェブサイトで写真を見ながら自分のイメージに合う部屋を選んでみよう。

地元産の食材にこだわった朝食は、ボリュームたっぷりなのに油控えめでさっぱりいただける。オーナーの大畑さんは、観光地はもちろん、景色の美しい散歩道や食情報にも通じているストラトフォード・アポン・エイボンの達人。大畑さんのアドバイスを基に街散策をすれば、より一層充実した旅を楽しめること間違いなしだ。

*画像をクリックすると拡大します

INFORMATION

宿泊料金
シングル:50ポンド〜、ツイン / ダブル:72〜88ポンド
ファミリー:95ポンド〜
*朝食込み、長期滞在割引あり

40 Alcester Road, Stratford-upon-Avon CV37 9DB
Tel: 01789 268774
Email: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.moonrakerhouse.com




 

アーセナル入団!近賀ゆかり&大野忍 インタビュー:女子サッカー日本代表選手

近賀ゆかり&大野忍インタビュー近賀ゆかり&大野忍インタビュー

2011年にドイツで開催されたサッカーの女子ワールド・カップ(W杯)優勝や、2012年ロンドン五輪の銀メダル獲得で日本中の人々そして在英邦人を熱狂させた、日本のサッカー女子代表「なでしこ」のメンバーたち。その中枢を成す大野忍選手と近賀ゆかり選手が、この春、イングランドにおけるサッカー女子の強豪アーセナル・レディースに入団した。渡英してまだ間もない3月末には欧州チャンピオンズ・リーグの試合にさっそく出場し、今後国内リーグでの活躍が期待される両選手に話を聞いた。(取材・本文執筆: 木村正人)


近賀ゆかり Yukari Kinga
1984年5月2日生まれ、神奈川県出身。なでしこリーグの日テレ・ベレーザ、INAC神戸レオネッサを経て、2014年にアーセナル・レディースに入団。大野選手とともに、サッカー女子の日本代表として、世界一となった女子W杯のドイツ大会や、銀メダルを獲得したロンドン五輪など数々の国際大会に出場している。

大野忍 Shinobu Ohno
1984年1月23日生まれ、神奈川県出身。なでしこリーグの日テレ・ベレーザ、INAC神戸レオネッサ、仏リーグのオリンピック・リヨン、なでしこリーグ2部のASエルフェン狭山FCを経て、2014年にアーセナル・レディースに入団。なでしこリーグでは最優秀選手に3度選出され、得点王に4回輝くなどしている。

 

3月の欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)が初の公式戦となりました。

大野:練習試合には出ていましたが、公式戦はCLが初めてでした。楽しめた戦いでした。負けたのは悔しかったですが。試合後は真っすぐ家に帰ってきて、キンちゃん(近賀選手の愛称)と2人で反省もしましたし。失点のところだったり、得点のところだったり。自分に関しては何回か決定機も作ったんで、それを決めていれば雰囲気も変わったと思います。そういう責任感はすごくありました。

近賀:CLに出たくて英国に来たと言っても過言ではありません。CLへの思いがすごくあった中で、いきなり公式戦を迎えた。それが、第2戦で本当に犯してはいけないミスを私が犯して失点して、忘れられない試合になってしまった。それはセンターバックを初めてやったとか、慣れていないポジションだからとか、そういう言い訳では済まないミスだったんです。ただ下を向いてばかりはいられないので、後半は点を取りに行くとなって、自分が一つ前の列のポジションに入ったときに得たヒントはありました。だから、様々な意味で印象深い試合となりましたね。普段は全然平気で寝られますが、この試合は寝られないというか、目をつぶると思い出すという感じでした。

日本のサッカーと英国のフットボールの違いについて何か感じたところはありますか。

大野:自分はここに来る前、フランス女子サッカー・リーグのオリンピック・リヨンにもいたんですが、そこでもサッカーの違いというか、日本にはあって海外にはないもの、逆に海外にはあって日本にはないものを実感したということがあったので。その難しさというのは慣れるまでに時間がかかるのかなという部分はあります。海外の場合は個の力を発揮しなくてはいけない部分がすごくあるので、個を出しつつ、チームのコンセプトに対応していかなければならないのかなと思います。

近賀:自分のイメージでは1対1の勝負になってくるのかなと想像しながら来てみて、(それまでのポジションであったサイドバックから)センターバックをやることになったので、色々な確認をこの短い中でも監督やチームメートとしています。日本はどちらかと言ったらカバー、カバー、カバー。日本代表では、自分たちよりもフィジカルが上になる相手が多いので、カバーを大切にするんです。アーセナルでも監督はカバーと盛んに言っているので、やろうとしていることは日本と近いのかな。いざ、試合になると、どこまでカバーに行くのかという微妙な距離感の違いはあるとは思いますが。

守備において空いているスペースを埋めたり、相手選手に味方選手が抜かれたときに助けに行く行為

センターバックがしっかりしているチームは強いですね。近賀選手への期待の表れなのではないでしょうか。

近賀:たぶん、監督が私のことをよく分かってないのだと思います(笑)。まだ、自分の中でも疑問があります。一番大事なところを任せてもらっているのはありがたいですし、その分、期待に応えたいなという気持ちはあります。

アーセナル・レディース
3月30日に行われた欧州チャンピオンズ・リーグでの
対バーミンガム戦で敗退し、アーセナル・レディースの
シェリー・カー監督に声をかけられる
近賀選手(写真左)と大野選手(同右)

監督からはいつセンターバックで行くぞと言われたんですか。

近賀:入団してすぐにセンターバックでと言われました。両サイドに良い選手がいるというのもあると思います。「まあ、できるだろう」という感じで言われました。でも、やったことはなかったので、できるも、できないも、やったことがありませんという返ししかできませんでした。たぶん守備面より攻撃面の理由でセンターバックをやってくれと言っているのではないかなと思います。ボランチっぽいというか、しっかり後ろから前の人にボールを運ぶというところを求められているというか。

大野選手のポジションはトップ下ですね。

大野:日本でもやっていたプレーだったので。トップ下にしっかりパスを出せる選手もアーセナルにはいます。自分としては近賀選手が一つ前の中盤のボランチをやってもらった方が助かりますが、監督がどうしても近賀選手のセンターバックが気に入っているみたいなので(笑)。

近賀:違う、違う。何かそう仕立てようとしてない?

大野選手はロンドン五輪のブラジル戦で左足のうまいシュートを決めました。左利きのメッシみたいにプレーしたいということですが。

大野:もともと右利きなんですが、今からでも遅くないかなと思って、左足の練習をしています。今からでも練習すれば左利きになれると信じています。少しでもメッシ選手に近付けたら良いなと。ドリブルもそうですし、一人で試合を決めてしまうじゃないですか、メッシ選手は。

自分のスタイルを貫くのか、チームのスタイルに合わせるのかという点で迷われたりはしますか。

大野:リヨンの場合は自分のプレーよりチーム優先だったので。チームとしてこういうサッカーをしたいから、お前もそのプレーじゃなくて、変えてくれみたいな感じだったんですよ。一方で、自分の個の力を存分に出して、チームとしてこういう風にやりたいから、こういうのも出してくれ、というチームもある。アーセナルはそういうチームなので、自分のプレーを曲げなくてもいい。慣れの部分では、なじみやすいというか、すぐに入りやすいかなというのはあります。チームとしてどうしたいというのを理解しつつ、その中で、自分のプレーがチームとしてどう機能していけるかというのは自分次第かなと思いますけど。

近賀:その質問で言えば、貫くとしたら、センターバックをやってくれと言われて、やりませんというのが、もしかしたら貫くということになるのかもしれません。そういう意味では自分を貫いているわけではないと思う。私としては、チームに求められていることをやりたい。その中で、思い切りやってくれ、自分の特徴を出してくれという感じでチームは言ってくれていて。これをやるなとか、今のプレーはしないでくれとか、そういうことを言われたことはないです。自分はスタミナの部分はある方なので、色々な所で顔を出して、守備でも何回も食らいついたりとか、そういうところではサイドバックをやっているときと似ていると思います。まあそれに、チームで求められていることが自分のプレーを出すことなので、早くチームのやるものにフィットしていきたいですし、チームのプラスアルファになりたいなとは思います。

イングランド代表の弱点を見つけに来たというのは本当ですか。

大野:こちらでは、W杯チャンピオンってすごいことだって言ってくれます。日本ではもう、あまり騒がれません。自分たちは過去の話なんで、もういいという感じなんですが、イングランドの選手に「いや自分たちはそのチームに勝ったし」と言われたんです。確かにそうなんです。イングランドには勝ったイメージがない。自分たちが帰国するときは少しでも何か持って帰れればいいなと思って今、弱点を見つけているところです。

近賀:本当にイングランドに勝っているイメージがないので、弱点を見つけるというか、特徴をつかんで、勝つための情報を集めたいです。

大野:将来、イングランド代表と試合をしたとき、あの2人にやられたと思われたいですね。

渡英が決まったのは。

近賀:ギリギリでした。こちらに来たのが2月18日。ビザが出るのが長引いて、2月に入国しました。

大野:ビザの話は12月ぐらいから始まりました。準備したことはそんなになかったですね。アーセナルのウェブサイトを見ましたが、日本語版があまり更新されていなくて、これは古いなと思って。選手も違うし。一体誰なんだ、誰がいるんだ、という情報はすごく知りたかった。

近賀:こちらに来る準備は全然していませんでした。イングランド代表の選手が何人かチームにいるというのは聞いていましたが、その選手がこのシーズンにいるのかどうかというのも分からなかった。残っていたらいいなと思う選手が来てみたらいたという、そんなもので。あとは色々な人が「キンちゃん、ロンドンはこういうところだよ」という話をしてくれたくらい。ギリギリに決まったんで周りの人にもきちんと言えてなくて。あとは旅行の本をくれた人はいました。

英会話学校には行きましたか。

大野:行ってないです。英語は話せたら格好良いなと思っていたぐらい。行かなきゃ、行かなきゃと思っていても時間がなくて行けなかった。

監督さんの説明は英語で聞いていて分かりますか。

大野:いやあ。2人で今のはこう言っていたよね、と確認を取ったりはします。ただアーセナルの監督は日本と近い感覚を持っているので、その部分でやりやすさというのはありますね。それを早く自分たちも理解してしっかり結果につなげていければ。ボードに監督が結構書いてくれるのですが、自分たちがメモする前にチームもさっさと帰ってしまうので、確認できない部分がちょっとあるんです。単語さえ分かればいいかなと思っています。

近賀:いくつかの表現は、やっぱりセンターバックなので言わなきゃいけないし、本当に何個かは最初に覚えなきゃというのはありました。ディフェンス・ラインを上げるタイミング、ここはラインを止めるタイミング、下がるタイミングとか、自分がマークを取るとか、マークを任せるとか、そういうことに関連した表現は必死で覚えました。

アーセナルのチームメートとはどうですか。

大野:チームメートはすごく優しいです。びっくりしちゃうぐらい優しくて、いつも2人で「優しすぎる」と言っています。アーセナルの男子の試合を初めて観に行ったとき、電車で行ったのですが、帰るときにすごいじゃないですか、人が。チームメートたちはきっとテケテケ自分のペースで行ってしまうんだろうなと思っていたんです。自分たちは迷子にならないように一生懸命ついていこうとしていたんですが、前に行きながら何度もウチラのことを確認してくれて。えー、すごく見てくれている、早く追いつかなくっちゃ、と。すごく気を遣ってくれます。練習中もこう言っているよとか説明してくれたり。まだ、じゃれ合うぐらいのコミュニケーションは取っていませんが。

近賀:想像していたよりも親切すぎてビックリしています。最初だけかなと思っていたら、1カ月ぐらいたってもまだ親切です。シャイな感じ、恥ずかしがり屋な感じがします。すごく心配してくれるというか、試合に行くときも、試合を観に行くかと聞かれているけど2人はどうするとか、あと車の送り迎えをしてくれることもありますし、とにかく何かと気にかけてくれます。練習中も、たぶん話しても分からないだろうなという感じだとは思うんです。それでも嫌にならずに話してくれる。分からないことがあったらセンターバックのチームメートに聞くと噛み砕いて話してくれますし、本当にビックリしています。

大野選手と近賀選手
英国ニュースダイジェストのオフィスでインタビューに応えてくれた、
大野選手(写真左)と近賀選手(同右)

チームの中ではどのように呼ばれていますか。

大野:「シノ」と呼ばれています。

近賀:「キンガー」です。

自分で判断するプレーの範囲はどうですか。

大野:日本の方が自分で判断しろという範囲は大きいと思います。こちらはシステムというか、すごくポジションにこだわるような気がします。

渡英されてから、2人で来て良かった、助かったと思うことはありますか。

大野:そんなの、毎日思っています。自分はサッカーをしに英国に来て、そのサッカーをする上で自分のことを理解してもらうことが一番重要だと思うので、そういう選手が1人でもいるというのは本当に楽ですし、自分としては助かっている部分は大いにあります。

近賀:チームメート全員に「シノにボールを預けとけばいいんだよ」って言いたいくらい。預けておけばチームはきっとうまくいく。そう信じることができる選手がいて、しかもその選手が自分のことを分かってくれている。1列前にそういう選手がいるというのは心強いの一言ですね。

プライベートはどうですか。

大野:出掛けてないですね。出掛けるとしたら近くのスーパーに買い物に行くぐらいです。テスコもありますし、サンズ……

セインズベリーズのことですか。オレンジ色のところですか。

大野:そう、そこに行ったりしています。

近賀さんはどうですか。

近賀:似ていますね。近くに英語のレッスンをしてくれている人がいて、この間はその人の家で日本食を振る舞ってもらいました。それで結構リフレッシュしたりとか、休日はそんな感じですかね。

自炊されていますか。

近賀:自炊です。日本のときから基本的には自炊です。パスタもゆでるだけですし。

大野:得意料理はないんですよ。お肉を焼いたりとかはできるじゃないですか。英国にもモヤシとかはあるので。あとはキンちゃんと一緒でパスタをゆでたりとか。

サッカー選手はよくパスタを食べるんですか。

大野:ウチラの考えでは、楽だからです。たぶん……(笑)。

渡英してから、お互いに対して意外な発見はありましたか。

大野:キンちゃんはクールなイメージなんですよ、日本では。すごくクールな近賀選手で通っているのに、こちらではふざけたキャラで通ちゃってるので。こっちに来て逆転じゃないですけど、皆とのコミュニケーションでもしゃべるし、英語で話そうともするし、今度、日本代表に行ったときにみんなにバラしてやろうと思っています。

アーセナル男子の宮市亮選手やチェルシー女子の大儀見優季選手との交流はありますか。

大野:宮市選手とは、渡英したばかりのころ、アーセナル側の手配で写真を一緒に撮ってもらう機会がありました。大儀見ちゃんはハイ、一回。彼女が所属しているチェルシーには韓国代表のチ・ソヨン(INAC神戸レオネッサ時代のチームメート)がいて、そのソヨンが誕生日だったので、キンちゃんと2人でサプライズに行ってという食事会はしました。ただ彼女たちがいるところは電車で1時間ぐらいと若干遠いので、ちょくちょく会えるという感じではないのですが。

リヨンでの経験は生きていますか。

大野:経験が生きていると感じている部分はあります。またリヨンに行って悔しい思いはしましたが、後悔はしていないので、アーセナルで同じことの繰り返しにはしたくないなと思います。

近賀選手は海外で暮らすのは初めてですね。

近賀:携帯でメールもできますし、パソコンではスカイプで話したりできます。まだホームシックは大丈夫ですね。Wi-fi の環境もすぐに整えてくれたりとか、すごくよく対応してくれました。後から聞いたらそんなスピードで準備を整えてもらえるというのは普通では無理みたいですね。本当によくチームからサポートをしてもらっているので、ありがたいです。

ロンドンで行ってみたいところは。

大野:観光名所には全部行ってみたいです。

近賀:ハリー・ポッターの名所にも必ず行かなきゃ。

大野:(ホグワーツ特急が発着するれんがの壁に)突っ込んでみたいですね。

5月18日(日)ホーム開幕戦!

アーセナル vs マンチェスター・シティ
大野選手、近賀選手を応援しよう!

5月18日(日)にロンドン郊外で行われるサッカー女子の国内リーグ、アーセナル・レディースのホーム開幕戦に行って、大野・近賀選手を応援しませんか。試合当日に英国ニュースダイジェスト本誌、またはウェブサイトの本記事のプリントアウトを持参した方には、試合会場で「Eikoku News Digest」と書かれた案内を持つスタッフより、両選手のサイン入り写真をプレゼント致します。試合後には、競技場内で選手と握手や写真撮影を行うことも可。当日は、ホーム開幕戦に臨む両選手を目一杯応援しよう!

● 日時:5月18日(日)14:00
● 場所:Meadow Park
  Broughinge Road, Boreham Wood, Hertfordshire WD6 5AL
● 入場料:£5(子供£2.50) *試合当日、競技場にて購入
● WEB:www.arsenal.com/ladies

ロンドンからの行き方

St Pancras International駅からFirst Capital Connect線に乗り、
「Elstree and Borehamwood」駅下車(乗車時間は約30分)。
駅を出てすぐ左手にある大通り「Shenley Road」を右に進み、
しばらくすると左手に見えるマクドナルドを通り過ぎてBrook Roadに入ると、
競技場の住所となるBroughinge Roadへとたどり着く。
競技場隣接の駐車場有り。


大きな地図で見る
 

マルセイユに行ってみよう

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

ロンドンーマルセイユ地図日照時間が延びるこれからの季節、英国を飛び出して、
思う存分に太陽の光を浴びてリフレッシュしたい
―――そんなあなたにお勧めしたいのが、
南仏らしい穏やかさと港町の活気を併せ持つ
フランス第2の都市、マルセイユ。
日光の力でエネルギーをチャージしたら、
マルセイユが誇る文学、
建築、そして食の世界を堪能しよう!
(フランスニュースダイジェスト: Kei Okishima)

港町を見守ってきた800年の歴史
旅の始まりはノートルダム・ド・ラ・ガルドから

ノートルダム・ド・ラ・ガルド

ボンヌ・メール19世紀まで、貿易の中心地として栄えたマルセイユ。旧港の南の丘、147.85メートルの高台にノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院(Notre-Dame de la Garde)はそびえる。現在の寺院は19世紀に建築家エスペランデュによって建てられたものだが、歴史をたどれば基となった寺院は、1214年に丘の上に建てられていた。今年、誕生から800年を迎える。寺院の上には黄金に輝く9.72メートル、重さ約1トンの聖母マリア像が町を見下ろすように立っている。この黄金に輝く聖母マリアは「ボンヌ・メール(良き母)」と呼ばれ、これまで漁を、町を、そして住民を見守ってきた。内部のモザイク装飾は圧巻。内部には天井から幾つもの船がつる下げられていたり、海にまつわる絵画などが飾られていたりと、漁や平癒に対する感謝の気持ちから納められた奉納品が飾られている。ここから見るマルセイユは絶景。市内から徒歩で来るには、かなりの坂道を登ることになるので、バスが便利。

Basilique Notre-Dame de la Garde

Rue Fort du Sanctuaire 13281 Marseille
TEL:+33 (0) 4 91 13 40 80
開館時間:10月~3月 7:00~18:15 / 4月~9月 7:00~19:15
交通:Vieux-Portからバス 60番で、ノートルダム・ド・ラ・ガルドのパーキングまで。
www.rtm.fr

小説の舞台で一休み
モンテ・クリスト伯の舞台、イフ島へ

イフ島

1529年、フランソワ1世が町を守るための要塞として建設したイフ島の城、シャトー・ディフ。その後、逃亡不可能な建築スタイルと立地から、監獄として使用されるようになった。フランス革命のリーダーとなったミラボーもここに監禁され、「専制政治論」を完成させた場所として知られている。また、作家アレクサンドル・デュマは、フランスの新聞「ジュルナル・デ・デバ」に連載した「モンテ・クリスト伯(巌窟王)」の小説の舞台にシャトー・ディフを選んだ。主人公、エドモン・ダンテスは無実の罪でシャトー・ディフに投獄され、14年間をこのイフ島で過ごしたという設定だ。シャトー・ディフの窓からは、マルセイユの高台にそびえるノートルダム・ド・ラ・ガルドが見える。

シャトー・ディフ

Château d'If

Embarcadère Frioul If
1, Quai de la Fraternité, 13001 Marseille
4月1日~5月15日 9:30-16:45、
5月16日~9月16日 9:30-18:10、
9月17日~3月31日 9:30-16:45(月休)

アクセス

マルセイユ市内からイフ島までは
旧港からフェリーで約20分

イフ島行きのフェリー

Frioul If Express
TEL:+33 (0) 4 96 11 03 50
www.frioul-if-express.com

ル・コルビュジエの集合住宅を体感
Unité d'Habitation

ル・コルビュジエ20世紀最大の建築家と言われるル・コルビュジエが建てた巨大な集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」。中でも一番初めに建てられたマルセイユのユニテ・ダビタシオンは、今日でも世界中の人を魅了している。

この集合住宅は戦後復興期の1947~52年、理想的な生活のスタイルを実現するために作られた。137メートル×56メートル×24メートル、18階建てという巨大な建物の中には23種類の異なる部屋のタイプがあり、1600人が生活することができる。この集合住宅は一つの玄関ホールから出入りするようになっており、建物全体が一つの小さな町のようなコンセプトで作られている。1階部分はピロティになっていて、この巨大な建物を柱がしっかりと支えている姿は圧巻。ピロティのお陰で自転車を置いたり、自由に通り抜けることができたりと、ゆったりとしたスペースが確保されている。多くの部屋がメゾネット形式になっているため、エレベーターは3階、6階のように数階ごとに停止するのも特徴の一つ。中間階には共同のスペースや店舗があり、屋上にはプールや運動ができる場所などが設置されている。屋上ではマルセイユの空、海、山、そして太陽を満喫できる。

コルビュジエの建築内で宿泊

ユニテ・ダビタシオンの見学は、個人で見る分には無料で、売店などがあるエリアや屋上を見学することができる。しかしこの世界にゆっくりと浸りたい建築ファンやコルビュジエファンにお勧めなのが、同集合住宅内にあるホテルだ。部屋は16 平方メートルまたは32 平方メートルがあり、1~ 4 人まで宿泊可能。世界中のファンが予約をする人気ホテルなので、旅が決まったら早めに予約を取ろう。

ユニテ・ダビタシオン内にはミシュラン・ガイドにも紹介されているレストラン「Le Ventre de l'Architecte」がある。宿泊が難しい人は、こちらでゆっくりと食事を堪能してみては?

Unité d'Habitation

280, Boulevard Michelet 13008 Marseille

個人での見学(共有部分のみ可能)

毎日9:00-18:00

ガイド付き見学

火~土 14:30~、16:30~(各1h30、要予約)
www.marseille-tourisme.com
(Visites-GuidéesからLe Corbusier en exclusivitéを選択)

ホテル

Hôtel Le Corbusier
TEL:+33 (0) 4 91 16 78 00
www.gerardin-corbusier.com

レストラン

Le Ventre de l'Architecte
TEL:+33 (0) 4 91 16 78 23 
www.leventredelarchitecte.com

アクセス

マルセイユ駅から地下鉄2番線(Dromel方面)Rond Point du Prado駅下車。
その後21番、22s番、22番、22S番のいずれかのバスでLe Corbusier駅下車。

肌が喜ぶ植物オイル
職人が作るマルセイユせっけん工場を見学

マルセイユせっけんマルセイユのせっけんは、植物性のオイルと苛性ソーダを混ぜたもの。ルイ14世の時代の1688年10月5日、財務総監を務めていたジャンバティスト・コルベールにより、原料の油脂はオリーブ・オイルにすることなど、マルセイユのせっけん作りの製法が定められた。現在でも伝統的な方法で作られているマルセイユせっけんは、72%の植物オイルを含んでおり、かま炊きけん化法で植物オイルとソーダを煮詰め、その後、塩水で不純物を取り除くなど、約80時間の行程を経て生み出されている。

マルセイユせっけんを代表する「植物油脂72%」と刻印された600gのせっけんは、お土産にぴったり。ほかにも、南仏で特に有名なスポーツ、ペタンクの形をしたせっけんや、パスティス(後述)の香りがするせっけんなどもお勧めだ。また、特別注文で、結婚式の引き出物用に名前が刻印されたせっけんを注文する人や、生まれた赤ちゃんと同じ重さのせっけんを記念に作って欲しいという依頼を受けることもあるのだそう。面白いアイデアがあれば、ぜひ事前に問い合わせをしてみよう。

せっけん作り
左)圧延機に掛け、せっけん素地を均一にしている 右)最後に丸いせっけんの形にプレスする

せっけん作りを見学できるお店

Savonnerie Marseillaise de la Licorne  
34 Cours Julien 13006 Marseille
TEL:+33 (0) 4 96 12 00 91
www.savon-de-marseille-licorne.com
せっけん作り見学: 11時、15時、16時(日祝以外)、無料

憲章で守られている伝統スープ
ブイヤベース(La bouillabaisse)

その昔、漁師たちが売れそうにない魚や売れ残った魚などをスープにして食べたことから始まったブイヤベース(La bouillabaisse)は、今やマルセイユの代表料理として知られている。伝統的なマルセイユの本格派ブイヤベースは1980年に制定された「ブイヤベース憲章」で守られており、材料や調理法には決まりがある。魚は地中海の岩礁に生息するもので、ホウボウ、アンコウ、マトウダイ、カサゴ、足長ガニなどの中から4種類以上の魚を使わなければならず、エビ類や貝タコ、イカなどは入れない。ベースとなるスープは決められた小魚でだしを取ること。ほかに使用される材料は、塩、タマネギ、コショウ、パセリ、じゃがいも、ニンニク、オリーブ・オイル、サフラン、フェンネル、オレンジの樹皮など。ルイユという特製のソースと、ニンニクの香りが付けられたクルトンと一緒に提供される。最初にスープのみを客に出し、その後に魚を別の皿に盛り、提供するというのが基本的なパターンだ。

市街には複数のレストランがブイヤベースを提供しているが、きちんと料理をしているレストランでは待ち時間も長いので、余裕を持って行こう。また、量もかなり多めなことをお忘れなく。

ブイヤベース

お薦めレストラン

小さな港の前にあり、マルセイユの雰囲気にゆっくりと浸りながら
静かに過ごすことができるレストラン。
Chez Fonfon
140, Vallon des Auffes 13007 Marseille
TEL:+33 (0) 4 91 52 14 38
www.chez-fonfon.com

気になる伝統料理・菓子

ピエ・エ・パケPieds et paquets
ピエ・エ・パケ

羊の足と内臓をワインとトマト・ ソースで煮込んだ伝統料理。

ナヴェットNavette
ナヴェット

舟の形をしたビスケット。通常はクレープを食する2月の聖燭節(キリスト教の祭)にナヴェットを食べる習慣も。


ご当地ものにこだわってマルセイユでアペリティフ

アペリティフの歴史をたどっていくと、古代ローマ時代から存在していたことが分かる。古代ローマ人は食欲を増進させるため、食事の前に少しアルコールを含む特別な効能を持った飲み物を飲む習慣があった。アペリティフという言葉の語源は、ラテン語の「aperire =開く」というもの。この伝統は世紀を越えて受け継がれ、19世紀には食前に飲むすべてのアルコール飲料のことを「アペリティフ」と呼ぶようになった。マルセイユではアペリティフはとても大切。カフェやバーで、また友人を自宅に招いてゆったりとしたアペリティフの時間を楽しんでいる。日が長くなるこれからのシーズン、テラスのあるカフェでゆっくりと楽しもう。

マルセイユ生まれのリキュール「パスティス」

パスティスマルセイユのアペリティフとして欠かせないのが、マルセイユ生まれのアルコール、「パスティス(Pastis)」だ。パスティスの前身とも言われるのが、19 世紀、フランスの芸術家たちを魅了したアルコール「アブサン」。強い陶酔感と興奮をもたらすアブサンは、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、ロートレック、ランボー、ボードレールなど、フランスにいた多くの芸術家を魅了した魔のお酒と言われている。しかし20 世紀に入りアブサンの製造が禁止され、その代わりにポール・リカールがアブサンの製法を改良して作ったのがパスティスだった。スターアニスやフェンネル、リコリスの香辛料が強いため、スーッとした後味が爽快感を与える。ちなみに「Pastis de Marseille(マルセイユのパスティス)」と表記するためには、アルコール度が45% 以上で1リットル当たり、2 グラム以上のアネトール(アニスの主成分)が含まれていなければならない。パスティスは水割りで飲むのが一般的で、水を入れると白く濁るのが特徴。慣れてきたらカクテルにも挑戦しよう。有名どころでは、グレナデン・シロップ(sirop de grenadine)を加えたLa tomate、ミントのシロップ(sirop de menthe)を加えたLe perroquet など。

La Cagole
マルセイユご当地ビール「ラ・カゴール」

マルセイユにノスタルジックな思いを抱える幼なじみの友達2 人が作ったビール・メーカー、「ラ・カゴール(La Cagole)」。ビールの色はマルセイユの旧港の水の色と同じだとか! 初めはパニエ地区の小さなブラッセリーで作られたそうだが、今やマルセイユのご当地ビールとして浸透し、市街のブラッセリーやバー、スーパーで購入できる。
www.lacagole.com

Fada Cola
マルセイユ発の炭酸飲料「ファダ・コーラ」

お酒はちょっと、という人には、マルセイユ発の炭酸飲料水「ファダ・コーラ(Fada Cola)」を。レモネードなどの炭酸飲料を展開している。ラ・カゴールも、ファダ・コーラも、パッケージのイラストがかわいいので、ちょっとした手土産にも喜ばれるかも。
www.fadacola.fr

ロンドンからの行き方

OUIGOロンドンからマルセイユまでは飛行機の直行便を利用するのが便利。ロンドンの各空港からマルセイユ・プロヴァンス空港までは格安航空便も飛んでおり、約2時間で到着する。同空港から市内までは、シャトル・バスでマルセイユ・サン・シャルル(Marseille-Saint-Charles)駅まで約30分、またはタクシー。

パリ旅行と併せてマルセイユも訪れたい、という場合には、フランス国鉄(SNCF)が昨年、営業を開始した格安列車ウイゴー(OUIGO)を利用する手もある。パリとリヨン、ヴァランス、アヴィニョン、エクス・アン・プロヴァンス、マルセイユ、ニーム、モンペリエを結んでおり、チケット料金は最安値のものだと片道10ユーロから販売している。所要時間は3時間強。ただし、パリの駅はRER線のマルヌ・ラ・ヴァレ・シェシー(Marne-la-Vallée-Chessy)駅となるので要注意。

OUIGO公式ホームページ www.ouigo.com
 

ルイス Lewes「本当の英国」を感じる地方の旅

「本当の英国」を感じる地方の旅 ルイス

ルイス

ロンドンでの暮らしに少し疲れてきたら、晴れ間が覗いた日にふと電車に乗っただけで非日常空間へとワープしてしまうような小旅行に出掛けるのがいい。

今回は、イングランド南東部イースト・サセックス州の街ルイスに注目。日本からの団体ツアーは立ち寄らない、しかし英国の地方ならではの魅力がいっぱい詰まったこの地をめぐる旅を紹介する。

ロンドンからのアクセス:
ヴィクトリア駅から列車で約1時間

ルイスってどんな街?

11世紀にフランスのノルマンディー地方から襲来してイングランドを征服したウィリアム1世(征服王)が、天下分け目の合戦「ヘイスティングスの戦い」で戦功を挙げた義理の兄弟であり忠臣でもあったウィリアム・ドゥ・ウォーレンに報奨として与えたのが、このルイスの土地だった。

13世紀には、国政への権限をめぐって当時のイングランド王であるヘンリー3世と有力諸侯たちが争った「ルイスの戦い」の戦場に。

またプロテスタントを迫害して「ブラディー・メアリー(血のメアリー)」と恐れられたメアリー1世の治世下となる16世紀には、プロテスタント信者たちがこの地で処刑された。その後、街の中心を流れるウーズ川近辺では、ビールの醸造所や造船所が集う港湾都市として栄えたという歴史を持つ。

本特集で紹介した歴史的建造物と数々のアンティーク・ショップは全て徒歩圏内に位置しているため、ロンドンからの日帰りでの小旅行に打ってつけの場所だが、夏季でもそれほど混雑していない。日曜日は多くの店が休業し、平日でも夕刻時を過ぎれば早々と店じまいをしてしまうなど、イングランドにおける典型的な小さな田舎町の趣を残している。

また街の近郊には、白亜の断崖が特徴的なサウス・ダウンズ国立公園や、毎年夏に大規模なオペラ音楽祭が開催される街グラインドボーンなどがある。

ルイスの地図(クリックすると拡大します)
ルイスの地図

1〜3絵葉書のような街並みを楽しむ街歩き

鉄道駅からルイス城へ至るまでには急勾配の坂が続く。道の両脇には個性的なお店がちらほら。遠景には丘陵地帯を切り裂くような白亜の絶壁がそびえ立つ。どの角度を眺めても美しい景色ばかりが目に入る、それがルイスという街の魅力だ。

1〜7掘り出し物を見つけるための買い物歩き

ルイスはアンティークの街としても知られている。街の中心部では毎日蚤の市が開かれ、また至るところにアンティーク・ショップがある。ロンドン市内に乱立する大手デパートやチェーン店では絶対に入手できない、味わい深い家具や置物は眺めているだけでも楽しめること請け合い。※②④移転しました。ご注意ください

 

 

1〜3絵葉書のような街並みを楽しむ街歩き

ルイス城1街全体を見下ろす石城
Lewes Castle ルイス城

ウィリアム征服王の臣下であったウィリアム・ドゥ・ウォーレンによって今から約950年前に建てられた城。高台の上に建てられた塔の上からは、街全体を見下ろすことができるだけでなく、緑に覆われた丘陵地帯と見事なコントラストを成す白亜の断崖などを眺めることができる。ルイスの戦いを前にして、ヘンリー3世の息子であるエドワード王子がこの城に潜伏したと伝えられている。

(写真上)ルイス城の一部を貫通する道は一般道路として利用されている
(写真下)受付で手渡された鍵をかざして門を開錠させると入場できる

169 High Street, Lewes BN7 1YE
(チケット売り場)
Tel: 01273 486290
10:00-17:00(11月以降は開館時間が変更)
£10
http://sussexpast.co.uk/propertiesto-discover/lewes-castle

2ヘンリー8世から元妻への贈り物
Anne of Cleves House Museum
アン・オブ・クレーヴズの家

Anne of Cleves House Museum自身の離婚問題を理由にカトリック教会から離脱したヘンリー8世。彼の4番目の妻であるアン・オブ・クレーヴズに離婚条件の一つとして与えられたのが、この木造の邸宅だった。だがアン元王妃自身がこの家を訪れたことはなかったという。チューダー朝の様式を忠実に再現した庭園には独特の風情がある。16~18世紀にかけてイングランド南東部で盛んだったという製鉄の技術に関する展示も充実している。

写真)街の中心部から若干離れているため、周囲は静けさに包まれている

52, Southover High Street, Lewes BN7 1JA
Tel: 01273 474610
木〜日 11:00-15:00(10月29日まで開館)
£6.60
http://sussexpast.co.uk/attraction/anne-of-cleves-house

3ピクニックするには絶好の場所
Southover Grange Gardens
サウスオーバー・グレンジ・ガーデンズ

Southover Grange Gardens万有引力を発見した科学者アイザック・ニュートンの先祖が所有していた邸宅とその広大な庭が、現在では一般開放されている。ガーデンの中心部には小川が流れ、廃墟のような囲いに仕切られた芝生の上には水仙やダリアが眩しいほどに咲き誇る。ランチを食べたり、お昼寝休憩をしたりするには絶好のスポット。

写真)地元民たちの憩いの場となっているガーデン

Southover Road, Lewes BN7 1TP
8:30-日没, 無料
www.visitlewes.co.uk/things-to-do/southover-grange-gardens-p1096611

 

 

1〜7掘り出し物を見つけるための買い物歩き

1うれしい驚きにきっと出会える
Flea Market 蚤の市

Flea Market毎週数千人単位が訪れるという蚤の市。翼を付けた女性の姿が彫られた戦没者記念碑の近くにある、かつて教会として使われていた建物の中で毎日開かれている。各種の家具を中心に、動物の剥製、アール・デコの置き時計をはじめとする骨董品が並ぶ。思わず悲鳴や笑い声を上げてしまうような変わり種の掘り出し物にもきっと出会えるはず。

(写真上)レンガ造りの教会の建物の中で蚤の市が開かれている(写真下)目印となる戦没者記念碑

14a Market Street, Lewes BN7 2NB
Tel: 01273 480328
10:00-17:00
http://flea-markets.co.uk

2古くて新しいセンスにあふれる店
Closet & Botts
クローゼット & ボッツ

クローゼット & ボッツそれぞれパティシエとディスプレー・アーティストとして働いていた2人が立ち上げたヴィンテージ・ショップ。アンティークなのになぜか最先端の流行を押さえていると感じさせるようなセンスある商品ばかりが並ぶ。経営者の2人は小型トラックに乗って欧州各地の蚤の市を1年中周っていて、「こんなアンティークを探している」という買い付けの要望にも応じてくれる。

写真)心が癒やされるような優しいデザインの商品が並ぶ

37 High Street, Lewes BN7 2LU
(196 High Streetから移転しました)
Tel: 01273 471486
月〜土 10:00-17:00
www.closetandbotts.com


3注射針を製造する工場だった
The Needle Makers
ニードル・メーカーズ

The Needle Makers第一次世界大戦中には注射針を製造する工場が置かれていたという敷地を転用した複合施設。ハンドメイドのジュエリー、ヴィンテージ服、手芸品などをそろえたショップ、ギャラリーに加えてカフェも併設している。レンガの壁、地下にある井戸、そして色鮮やかな雑貨の数々に彩られた店内にいると、童話の世界に紛れ込んでしまったかのような感覚を覚える。

写真)外観は工場跡の趣を残したまま

West Street, Lewes BN7 2NZ
Tel: 01273 480219
月~土 9:00-17:00、日 11:00-16:00
www.needlemakers.co.uk


4黒い建物が目印
No.1 Lewes
ナンバーワン・ルイス

No.1 Lewes手前にインテリアやキッチン用品、店の奥にガーデニング用のアンティーク製品を配置している。カフェやレストランが多数並ぶ通りの入り口に位置しているので、アンティークにあまり興味のない同伴者を近くで休憩させたりする際には好都合。

写真)キッチンやガーデニング関連商品が充実している

19 Cliffe High Street , Lewes BN7 2AH
(1Cliffe High Streetから移転しました)
Tel: 01273 477714
月~土 10:00-18:00、日 12:00-17:00
www.theshoplewes.co.uk


5やっぱり飲みたい地ビール
Harveys Brewery Shop
ハーヴェイズ・ブリューワリー・ショップ

Harveys Brewery Shopルイスの地ビールとして有名なハーヴェイズのビール醸造所に隣接したショップ。創業してから200年以上の歴史を誇る家族経営のブランドで、当代は8代目。醸造所の見学ツアーの予約が2年先まで埋まっているという信じられないほどの人気ぶりを見せている。ショップではハーヴェイズが製造する各種ビールを購入することができるほか、同社が販売を手掛けるワインや蒸留酒もそろえている。

写真)道を挟んだ反対側には
ハーヴェイズ直営のパブもある

6 Cliffe High Street, Lewes BN7 2AH
Tel: 01273 480217
火~土 10:00-17:00 日 11:00-16:00
www.harveys.org.uk


6非日常体験ができる古本屋さん
The Fifteenth Century Bookshop
ザ・フィフティーン・センチュリー・ブックショップ

The Fifteenth Century Bookshopその名の通り、15世紀に建造されたという建物の中にある古書店。児童書や挿絵付きの本を多く取り扱っている。同店の入り口から延びていく小石が敷き詰められた小道の風景と、頭を屈めなければ入ることができないほどの低い天井、そして店内に並んだメルヘンチックな本の数々が非日常体験を与えてくれる。

写真)人通りの少ない平和でひっそりとした場所にある

99-100 High Street, Lewes BN7 1XH
Tel: 01273 474160
土 11:00-17:00 日 12:00-17:00
www.oldenyoungbooks.co.uk


7ポーランドの陶器の里からの贈り物
Baltica バルティカ

Baltica陶器の里として知られるポーランド南西部ボレスワヴィエツから取り寄せた陶器を扱う店。深みのある紺色を使ったデザインは、目に安らぎを与えるような温かな美しさを醸し出している。バター入れやソース差しまでかなり多種の商品をそろえているので、英国の食卓を飾るアイテムが見つかること間違いなし。併設カフェでは、それらの陶器を使ってピエロギやビゴスといったポーランドの伝統料理が供されるという贅沢なおもてなしをしてくれる。

写真)バター入れだけでもさまざまな模様がある

145 High Street, Lewes BN7 1XT
Tel: 01273 483449
月~土 9:30-17:30、日11:00-16:00
www.baltictrader.co.uk


 

ルイスの食

7Bill’s

Bill’sロンドンをはじめとする英国各地で見かけるレストラン・チェーン「ビルズ」の第1号店。最初は果物や野菜を販売する屋台としてスタートしたが、2000年に発生した洪水の被害で営業停止に。翌年にレストランとして開業したところ大ヒットし、全国展開するに至った。気軽なカフェ・スタイルで朝食からディナーまで楽しむことができる。

56 Cliffe High Street, Lewes BN7 2AN
月~水 8:00-22:00、木〜土 8:00-23:00、日9:00-22:00
http://bills-website.co.uk/restaurants/lewes

7Flint Owl Bakery Cafe

自家製造を行うパン屋が、2013年に開業したカフェ。つまり、このカフェではまさに作りたてのパンを味わうことができる。しかもパンの製造には、フランスのアルプス山脈で採取した酵母菌を使っているという本格派。砂を敷き詰めた開放的な裏庭スペースでは、ベビー・カーを必要とするお子様連れのご家族でもゆったりとした時間が過ごせる。

209 High Street, Lewes BN7 2DL
Tel: 01273 472769
月~金 8:30-17:00 土 9:00-17:00 日 9:00-16:00
www.flintowlbakery.com

7Le Magasin

Le Magasinウーズ川を渡る橋の付近にあるカフェ兼レストラン。シチューやパスタといった定番メニューに加えて用意される「本日のお勧め」はいつも美味。テイクアウェイもできて、ほかの多くの独立系店が閉業となる日曜日でも営業しているのがうれしい。

50a Cliffe High Street, Lewes BN7 2AN
Tel: 01273 474720
月~水8:00-17:00、木~土8:00-22:00、日9:00-16:00
www.facebook.com/LeMagasinCafe
※閉店しました

7Lewesiana Tea Room & Florist

ルイス城のすぐ近くにあるので、城の散策を楽しんだ後の休憩にはぴったりのカフェ。花屋を兼ねているため、店内を彩るたくさんの花々が華やかで贅沢な雰囲気を演出してくれる。

85 High Street, Lewes BN7 1TN
Tel: 01273 483085(Tea Room)
月~土8:00-17:30、日11:00-16:00
www.lewesiana.co.uk
※閉店しました

ガイ・フォークス・ナイトの街

ガイ・フォークス・ナイト1605年にカトリック教徒の過激派によるロンドンの国会議事堂を舞台としたテロ未遂事件が発生。以来、11月初旬に平和を願って花火を打ち上げたり、実行犯の一人であるガイ・フォークスを模った藁人形を燃やしたりする習慣が定着した。ルイスは毎年、英国内で最大規模のガイ・フォークス・ナイトを開催。プロテスタント色の強い地域であることや、ルイスの戦いで諸侯が王に勝利したことから民主主義を脅かすテロ事件への強い反発が生まれたなど、ルイスがこのイベントを盛大に祝うようになった理由については諸説ある。


 

高田茜 英ロイヤル・バレエ団ダンサー インタビュー

ロイヤル・バレエ団ダンサー 高田茜インタビューロイヤル・バレエ団ダンサー 高田 茜インタビュー

ロイヤル・バレエ団入団数年にして数々の大役に抜擢され、日本人のみならず、目の肥えた英国のバレエ・ファンからも高い注目を集める高田茜さん。順調にキャリアを重ねていたが、2011年から12年にかけて、怪我で「眠れる森の美女」や「白鳥の湖」といった大作での主役デビューを断念せざるを得なくなるという事態に見舞われた。13/14シーズンは13年10月に「ドン・キホーテ」のキトリ役デビューで華々しくスタート。今月末には満を持して「眠れる森の美女」の主役オーロラ姫を踊る。シーズン途中の休暇を日本で過ごし、ロンドンに戻ってきたばかりという高田さんに、意気込みを語っていただいた。

ロイヤル・バレエ団ダンサー 高田 茜高田 茜(たかだ あかね)
1990年生まれ、東京都出身。2006年、NBA全国バレエコンクールで審査員特別賞を受賞。奨学金を得て同年からロシアの名門バレエ学校、ボリショイ・バレエ・アカデミーに留学する。08年2月、ローザンヌ国際バレエコンクールでプロ研修賞及び観客賞を受賞。同年9月にロイヤル・バレエ団に研修生として入団する。翌09年にアーティストとして正式入団。10年にファースト・アーティスト、11年にソリストに昇格。今シーズンは13年10月に「ドン・キホーテ」のキトリ役を踊ったほか、3月25日に「眠れる森の美女」のオーロラ姫デビューを控える。

 

3月25日に「眠れる森の美女」でオーロラ姫のデビューを迎えられますが、現在の心境は?

楽しみですね。早く踊りたい、という感じです。この作品ではほかの役も踊るので忙しすぎて、これまで(オーロラ姫の)リハーサルの時間が取れていなかったんです。今週は毎日時間が取れるので、それでどうにかまとまれば、と(笑)。

今回は、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団から移籍したばかりのスター・ダンサー、ワディム・ムンタギロフとパートナーを組むことになりました。

2月に入ったころでしょうか、ケヴィン(・オヘア。ロイヤル・バレエ団芸術監督)から聞かされて。もともとダヴィッド(・チェンツェミエック)と踊るはずだったのですが、彼が退団してしまったので、誰と踊るんだろうと思っていた矢先に、ワディムと組むと知らされました。あんな素晴らしいダンサーと踊ることになって、ちょっとプレッシャーもあるのですが、すごく良いパートナーですね。

以前一緒に踊られたことはあるのですか。 「良いパートナー」ということですが、具体的にどのようなダンサーなのでしょう。

過去に一緒に踊ったことは全くありません。これまで1週間ほど一緒に踊っていますが、パートナリングがすごく上手。やはり経験が豊富なので、安心して任せられます。とにかくノーブルな王子様ですね。どんと来い、みたいな感じで、受け止めてくれそうなダンサーです(笑)。

オーロラ姫と言えば、出ずっぱりで肉体的にも精神的にもかなりきつい役なのではないかと思います。

レスリー・コリア *1 とずっとリハーサルをしているのですが、やはり彼女から学ぶことが多くて。一緒にリハーサルすることができて、幸せです。この作品は3幕あるのですが、そのそれぞれでオーロラ姫は全然違うんですね。1幕のオーロラ姫は16歳で若々しく、2幕では王子の想像上の幻影、3幕では結婚する幸せいっぱいの女性と、全く違う女性を演じ分けなければなりません。(16歳から100年間眠りについていることから)オーロラ姫は116歳まで成長していく、なんてよく言われるんですけれども(笑)。16歳のオーロラ姫は素で出来ているようで、大丈夫と言われるんですが、2幕、3幕と成長していかなければならず、レスリーにもよく叱られています。

全幕物 *2 の主役ということで、肉体的にも厳しそうですね。

まだリハーサルで通して踊ったことがないので、どんな風になるのかちょっと怖いんですが(笑)。でも今シーズン初めに「ドン・キホーテ」で初めてフルレングス(全幕物)のバレエを踊ったので、その経験をアイデアとして生かせるかなと思っています。

「ドン・キホーテ」のキトリ役はいかがでしたか。

始めは一回だけの予定だったんですけれども、ロベルタ(・マルケス。同団プリンシパル)が怪我をしてしまったので、彼女の代役も含め計2回踊りました。初めてのことだらけでしたが、「ドン・キホーテ」は小さいころからずっと観ていた作品ですし、新しい振り付けもあって、すごく楽しかったですね。思ったほど緊張もしなくて。何と言っても楽しいバレエですから。

普段からあまり緊張はしないタイプなのですか。

緊張はしますが、舞台に出たら忘れて踊ってしまいますね。でも日によるかもしれません。主役でなくても、舞台上で考え過ぎてしまうと、良い踊りはできていないのだろうな、と感じます。毎回、パーフェクト目指してやっているつもりですが、その都度、新たな課題が出てくるので難しいですね。

「眠れる森の美女」や「くるみ割り人形」といった古典作品を踊られる一方で、ウェイン・マクレガー作品などのコンテンポラリーものも数多く踊られていますが、個人的な好みややりやすさといったものはありますか。

クラシックは3歳のときからやっているので、通常のステップは体に染みついています。コンテンポラリーに関しては、ウェインの作品はたくさん踊っているので今は慣れてきたという感じでしょうか。それでも新しい作品を作るのは大変。クラシックのステップから少し外れたところでやらなければならず、体が慣れていないので慣れるまでは厳しいですね。ウェインの場合はリピート、リピートで100%を求めてきますので、ほかの作品のリハーサルがあって両立しなければならないときはへとへとになります。今シーズンはいつもよりプログラム数が一つ少ないのですが、「ドン・キホーテ」と今度上演されるクリストファー・ウィールドンの「冬物語」というフルレングスの新作が2本、そのほかにも新しいものがありますので大忙しです。

入団以来、順調にキャリアを積み重ねてこられましたが、2、3年ほど前に怪我で「眠れる森の美女」や「白鳥の湖」の大役を降板されました。その後、復帰されて心境などに変化はありますか。

左足の膝の関節部分を怪我したのですが、今も治ってはいません。もともと若いころに怪我して、弱い部分なんです。(ダンサーにとって)怪我はつきものなので、してしまうときにはしてしまうんですが、それでもできるだけ予防できるよう、マネジメントをしつつ毎日エクササイズを欠かさずするようにしています。

今後踊りたい演目や役柄はありますか。

いつかやりたいのは――皆やりたいと思いますけれども――「ロミオとジュリエット」。クラシックだけではなく、ロマンティック・バレエ、もう少し年を重ねたら「オネーギン」のタチアナ役もできれば、と思います。

将来はどんなダンサーになりたいですか。

(自分の)内にくっと閉じ込めてしまって外に出していないのかな、お客さんに伝わっていないのかな、自己満足で終わってしまっているんじゃないかな、とずっと気になっているんです。「伝えられるダンサー」になりたいですね。レスリーはちょっと踊るだけで全然違うんです。目とかキラキラしていますから。自分は地味なので、もうちょっと「キラキラ~」となれれば(笑)。近い将来は無理ですけれども、いずれはそういうダンサーになりたいなと思います。

リハーサル直後。くっきりとしたメイクもそのままに、インタビュー場所であるバレエ団のオフィスの一室に現れた高田さん。その華やかな笑顔は舞台上の彼女を彷彿とさせる一方で、ときに消え入りそうな小さな声音でおっとりと話し、休暇明けで夜の公演がないため、この後は家に帰ってハンバーグを作りますとうれしそうに語る様子からは、オーラがくっきりと輝いて見えるような陽性の雰囲気を全身に纏い、日々2000人以上もの観客を魅了するダンサーとしての姿は想像しがたい。

数年越しとなる「眠れる森の美女」の主役デビューを目前に控えても構えすぎることなく、心身ともに充実した毎日を過ごしていることを感じさせるその姿に、オーロラ姫という一人の女性が成長していく様をどのように表現してくれるのか、期待が膨らんだ。

*1:元同団プリンシパル。現在は後進の指導に当たる
*2:一つの物語をすべて上演する形態

 

イギリスのおみやげ「英国みやげ探訪」美術館・博物館ショップ編

英国おみやげ探訪・イギリスのお土産 - 美術館・博物館ショップ編

ロンドンに点在する美術館や博物館。展示品はもちろん、建物の外観や内観、カフェに至るまでが独自性に満ちた空間は、実はおみやげ選びにも絶好の場所だ。今回はロンドンの美術館や博物館のショップでおみやげ探し。美術やデザイン、交通や出版物まで、多種多様なテーマを追求する各施設が自信を持って世に送り出すユニークなおみやげの数々をご覧あれ。
商品の品ぞろえ、価格等は取材時点のものです。
変更になる場合もありますのでご留意ください。

英国の交通の歴史をぎゅっと凝縮
London Transport Museum

世界初の地下鉄を有する鉄道大国、英国における交通の歴史を、本物の馬車やバス、鉄道車両などの展示物とともにたどることができるロンドン交通博物館。鉄道ファンのみならず、大勢の観光客を魅了する同博物館で、展示物と合わせ大人気を博しているのが、ユニークかつデザイン性に優れたおみやげの数々だ。イチオシは、ロンドン地下鉄やルートマスターなどの車両の座席に使われている生地のデザインを使い、クッションや財布、マフラーなどに仕立てた「モケット」シリーズ。また、昨年、ロンドン地下鉄が開業150周年を迎えたことを記念しつくられた商品の数々は、各路線の色をフィーチャーしたカラフルさが魅力。つい全色そろえたくなってしまう。

名前 London Transport Museum London Transport Museum
住所 Covent Garden Piazza, London WC2E 7BB
TEL 020 7565 7295(ショップ)
最寄駅 Covent Garden
営業時間 日~火 10:00-18:30, 水・木・土 10:00-19:00
金 11:00-19:00
WEB www.ltmuseum.co.uk
 

Dolly Mixtures Flat Tin


Dolly Mixtures Flat Tin ノース・ヨークシャーの老舗トフィー・ショップ「ファラーズ・オブ・ハロゲイト」のスイーツ。缶のデザインは、1990年のロンドン地下鉄ポスターから £3.75

District Moquette iPad Cover

District Moquette iPad Cover
「モケット」シリーズのiPad カバー。左は1970年代後半に導入されるディストリクト線用に考案されたもの、右はルートマスター用のデザイン £60(1個)

London Underground Lines Pin Badges

London Underground Lines Pin Badges
各線が色分けされているロンドン地下鉄。自分の好きな線のみ購入するも良し、思い切って全色そろえるも良し £1.99(1個)

'Wimbledon' 1930 Mug


'Wimbledon' 1930 Mug ロンドンで行われる人気イベントと最寄駅を絡めたグッズも豊富。こちらは1930年のテニス・ウィンブルドン選手権を記念したポスターのイラストを使ったマグ・カップ £6.99

Paperthinks Ladies Leather Handbag

Paperthinks Ladies Leather Handbag
ロンドン地下鉄の各線の色が目に鮮やかな、ペーパーシンクス社のリサイクル・レザー・バッグ £65(1個)

New Routemaster Moquette Design Lambswool Scarf

New Routemaster Moquette Design Lambswool Scarf
「モケット」シリーズから、新ルートマスターの座席のデザインをモチーフにしたラムウール100%のマフラー £24.95
 

読書好きのあの人に
The British Library

ロンドン中心部キングス・クロス・セント・パンクラス駅に隣接する大英図書館は、英国の国会図書館。英国内で流通するすべての出版物が収められるというスケールの大きな同図書館にあるショップでは、本関連や、人気の物語にちなんだおみやげを購入することができる。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」ならばトート・バッグやアクセサリー、プレートやマグなどの食器類と、大人も子供も思わず目を奪われる商品がずらり。また、「シャーロック・ホームズの冒険」1905年発行本の表紙をモチーフにした電子書籍リーダーのケースなど、出版業界の流れに対応したアイテムも。絵本好きのお子さんに、読書好きのあの人に、想像力の翼を広げるおみやげをどうぞ。
写真: ショップ © Paul Grundy / 商品 www.bl.uk/shop

名前 The British Library The British Library
住所 96 Euston Road, London NW1 2DBB
TEL 0843 208 1144(図書館)
最寄駅 King’s Cross St. Pancras
営業時間 月・水~金 9:30-18:00, 火 9:30-20:00
土 9:30-17:00, 日 11:00-17:00(ショップ) 
WEB www.bl.uk
 
I Like Big Books and I Cannot Lie Tote Bag

I Like Big Books and I Cannot Lie Tote Bag


本関係のショップで おなじみのトート・バッグ。こちらは書籍を扱う図書館らしいメッセージが粋 £10.99

Once Upon a Time Fairytale Bookends

Once Upon a Time Fairytale Bookends
お姫様のシルエットとともに「昔々」と「終わり」の文字で本を挟む、夢あふれるブックエンド £25

Personal Library Kit

Personal Library Kit
子供のころ、図書館の司書さんに憧れた読書好きのあなたへ。手持ちの本をこれで管理すれば、あなたの家も小さな図書館に!? £11.95

Jane-a-Day: 5 Year Journal

Jane-a-Day: 5 Year Journal

英女流作家、ジェーン・オースティンの書籍をテーマにしたおみやげも豊富。こちらはオースティンの作品の印象的な文章がページごとに記された日記帳 £14.99
 

海や空に思いを馳せて
National Maritime Museum

子午線が走るロンドン南東部グリニッジ。旧王立天文台を始め、旧王立海軍大学や帆船「カティ・サーク」など、天文学や海洋学関連の施設がひしめくこの地に佇む国立海洋博物館のショップには、海や空をモチーフにした商品が。船のおもちゃや海賊グッズなど、子供が喜びそうなものから、帆船の模型やネクタイ・ピンなど男性向けの商品、果ては太陽・月・地球の動きを再現するドイツ・ヘルムレ社製の機械式天文時計(5500ポンド!)まで、幅広い品ぞろえが人気。コンパスや天球儀、日時計などの商品は、日常生活で使う機会こそないかもしれないが、エレガントでロマンあふれるデザインは、部屋に飾るだけで上品な存在感を放ってくれそう。
写真: © National Maritime Museum, London

店名 National Maritime Museum National Maritime Museum
住所 Romney Road, Greenwich, London SE10 9NF
TEL 020 8312 6700(ショップ)
最寄駅 Cutty Sark for Maritime Greenwich
営業時間 月~日 10:00-17:00(木は20:00まで)
WEB http://www.rmg.co.uk/national-maritime-museum
 

50 Year Brass Calendar

50 Year Brass Calendar
50年分の西暦と月、日付と曜日が表示される真鍮製の50年カレンダーは、部屋のインテリアとしてずっと飾っておきたい £7.95

Dollond Quarter Size Sundial

British Vintage Weather Notebook Set of 3

British Vintage Weather Notebook Set of 3
船と天気予報は切っても切れない深い縁で結ばれている。こちらのノートは天気が変わりやすい英国ならではのウィットに富んだ3点セット £7.95

Dollond Quarter Size Sundial

木製の箱に納められた美しい日時計は、英国の老舗光学メーカー、ドロンド社の創業者ピーター・ドロンドのデザインにヒントを得てつくられたもの £35

 

限定商品の豊富さに脱帽
Tate Modern / Britain

ロンドンにテート・モダンとテート・ブリテンという2つの大美術館を擁するテートのショップでは、デザイナーやアーティストとの限定コラボ商品が盛りだくさん。人気画家のイラストが描かれたT シャツから、デザイナーと地方の製造業者を結び付け、製品をつくり出すプロジェクトで生み出された商品まで、「観光地の記念みやげ」という枠を超えたクオリティーの高い品々が並ぶ。美術関連の本の品ぞろえも圧巻で、店内ではお洒落な人たちが分厚い本を抱え込んでいる姿が目につく。子供向けの絵本は、大人も見入ってしまう独創性のあるものばかり。お絵描き好きの未来の画家さんへのプレゼントに。
写真: 外観 © Tate Photography

名前 Tate Modern Tate Modern
住所 Bankside, London SE1 9TG
TEL 020 7401 5167(ショップ)
最寄駅 Southwark
営業時間 日~木 10:00-18:00, 金・土 10:00-22:00
WEB www.tate.org.uk/visit/tate-modern

名前 Tate Britain Tate Britain
住所 Millbank, London SW1P 4RG
TEL 020 7887 8888(ショップ)
最寄駅 Pimlico
営業時間 月~日 10:00-17:50 
WEB www.tate.org.uk/visit/tate-britain
 

Ally Capellino Artist Roll

Ally Capellino Artist Roll
英国の鞄デザイナー、アリー・カペリーノのテート限定品。アート・グッズを収納できるポーチは、美術を専攻する学生さんに £29

Grey/Orange Ally Capellino Tote Bag

Grey / Orange Ally Capellino Tote Bag


同じくアリー・カペリーノのトート・バッグ。しっかりした生地で、ベルト付きがうれしい。内部のオレンジ色が程良いインパクトに £45

Wallace Sewell Orange and Red Scarf

Wallace Sewell Orange and Red Scarf
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート出身の女性デザイナー2人組「ウォレス・シーウェル」のマフラーは、スイス人画家パウル・クレーの絵画をモチーフにした温かみのあるデザイン £50

Andy Tuohy Children's Umbrella

Andy Tuohy Children's Umbrella
ケント在住デザイナー、アンディ・トゥーイによる、ロンドンの観光名所が散りばめられた子供用のキュートな傘 £10
 

莫大なコレクションからヒントを得て
Victoria and Albert Museum

絵画、彫刻、陶磁器、家具、衣装と、とにかく多岐にわたる美術・工芸・デザイン関連の展示物が広大な敷地内に収められているヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で販売されている商品は、展示物と同じく実に多種多様。中でもV&Aらしさを象徴しているのが、同博物館が誇る20世紀の英国人デザイナーや製造業者らの手によるテキスタイルのコレクションにヒントを得て作られた商品だ。自然や動物たちをモチーフにしたテキスタイルのデザインが、ノートやカード、ティー・タオルなどに加え、英国の定番みやげ、クッキーの缶にも再現されているという凝りよう。また、ロンドン在住のジュエリー・デザイナーによる手作りアクセサリーなどもお勧め。
写真: 外観 ©Victoria and Albert Museum, London

名前 Victoria and Albert Museum Victoria and Albert Museum
住所 Cromwell Road, London SW7 2RL
TEL 020 7942 2696(ショップ)
最寄駅 South Kensington
営業時間 月~日 10:00-17:45
(金は22:00まで) 
WEB www.vam.ac.uk
 
Wooden Animal Letter

Wooden Animal Letter "S"


これを使えば、英語の勉強も楽しくなること間違いなし!? 一文字一文字丁寧にデザインされた木製アルファベット £2.50

Bawden A-Z Tote Bag

Bawden A-Z Tote Bag


トート・バッグもやっぱりV&A仕様。20世紀の英画家 / イラストレーター、エドワード・ボーデンのイラストを用いたカラフルなバッグは持っているだけでインパクト大£8.50

V&A Clotted Cream Shortbread
V&A Orange Crunch Biscuits

V&A Clotted Cream Shortbread / V&A Orange Crunch Biscuits
英国みやげの定番中の定番クッキーも、V&Aの手に掛かればこんなお洒落に。20世紀初めのテキスタイル・デザインを再現したもので、このほかにも数種類ある £4(1缶)

Animal Crayons Set

Animal Crayons Set
V&Aでは子供向けの商品も充実。動物たちの姿がキュートなクレヨンは、このほかにも何セットか色違いあり £8.50
 

名画や美術品の数々がおみやげに!?
The National Gallery

ロンドン中心部トラファルガー広場の正面に堂々とそびえ立つナショナル・ギャラリー。レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロ、ゴッホやモネなど、古今東西の画家たちの名作を所蔵しているこの美術館では、特別展で扱った画家の画集などはもちろんのこと、楽しく絵画に接することのできるちょっとユニークな商品も扱っている。息遣いが聞こえてきそうな精密なタッチで描かれた馬のシリーズは、同美術館が所蔵している英国人画家、ジョージ・スタッブスの「ホイッスルジャケット」をモチーフにしたもの。自分でも絵を描いてみたい、という人には、絵の具や色鉛筆のセットや木製のハンド・モデルなどもそろっている。ここで購入すれば、上達が早くなるかも……?
写真: 外観 © National Gallery, London

名前 The National Gallery The National Gallery
住所 Trafalgar Square, London WC2N 5DN
TEL 020 7747 2885(美術館)
最寄駅 Charing Cross
営業時間 月~日 10:00-18:00 (金は21:00まで)
WEB www.nationalgallery.org.uk
 

National Gallery Pastel Sketchpad

National Gallery Pastel Sketchpad
ナショナル・ギャラリーでは、名画を前にスケッチする人もいっぱい。美術館のロゴが施された10色30枚綴りのスケッチブックであなたもチャレンジ!? £11

Whistlejacket Silk Scarf

Whistlejacket Silk Scarf
スタッブスの名画「ホイッスルジャケット」のスカーフは、シルク100%で肌触りも抜群 £35

Big Ben A5 Notebook
Red Bus A5 Notebook

Big Ben A5 Notebook / Red Bus A5 Notebook
ビッグ・ベンとルートマスターという、おみやげの定番とも言えるモチーフなれど、この色褪せた趣が何とも言えない良い味を醸し出す £6(1冊)

Large Whistlejacket Umbrella

Large Whistlejacket Umbrella
同じく「ホイッスルジャケット」から。疾走感あふれる馬が描かれたこんな傘を差していれば、雨の日も軽やかに過ごせそう £20
 

デザインの今を体現する品々
Design Museum

英国モダン・デザイン界を牽引してきたテレンス・コンラン卿がテムズ河のほとりに創設したデザイン・ミュージアムには、ショップ目当てで訪れる人も多いという。ショップ内部はこぢんまりとしているものの、商業・工業デザイン専門の博物館だけあって、そこで扱う商品はどれも洗練されていてかつ実用的なものばかり。シンプルなのに遊び心のエッセンスも加えられた品々は男性へのおみやげにももってこいだ。同ショップは新しい才能の発掘にも注力しており、ロンドンを拠点に活動するデザイナーらの手による個性あふれた作品が並ぶ。「今のロンドン」を象徴したエッジーなおみやげを探したいなら、ぜひこちらへ。
写真: ショップ Photographer: Luke Hayes

名前 Design Museum Design Museum
住所 28 Shad Thames, London SE1 2YD
TEL 020 7940 8775(ショップ)
最寄駅 London Bridge/Tower Hill
営業時間 月~日 10:00-17:45
WEB http://designmuseum.org
 

Tower Bridge MONUmini Architectural Model

Tower Bridge MONUmini Architectural Model
ロンドンのアイコニックな景色を自宅で再現! ステンレス製の部品を組み立てていくと簡単にタワー・ブリッジが出来上がる。ほかにバタシー火力発電所などもある £15

London Skyline Sticky Tape

London Skyline Sticky Tape
ピッと貼るだけで、ロンドンらしさが香り出すテープ。歴史的建造物からザ・シャードまで、ロンドンの今を彩る建物がずらり £6.50

Fashion Face Off Trump Cards

Fashion Face Off Trump Cards
現在のファッション・シーンに関する様々な質問がイラストとともに描かれたカード・ゲーム。英イラストレーターのエリン・ペトソンがイラストを担当 £8.95

Bikes of Hackney Mug

Bikes of Hackney Mug
ロンドンを拠点に活動するデザイナー、エラ・ドーランのマグ・カップ。デジタル写真を生活用品のデザインに生かしたポップさが魅力 £11

 

女性シェフのレストラン

女性シェフのレストラン

朝早くから夜遅くまでの長時間労働に加えて、厳しい師弟関係や罵声が飛び交う職場環境が一般的とされる料理人の世界は、究極の男性社会であると言われてきた。ところが、そんな業界を生き抜くタフさを備えながら、繊細かつ創造的な料理を作り続ける女性シェフがこのロンドンにはたくさん存在する。そこで今回は、有名な女性シェフが働くロンドンのレストランを紹介する。


「世界の味」が隠し味
The Modern Pantry

Chef Anna Hansen MBE

レストラン界での業績を称えられ、王室から大英帝国勲章(MBE)を与えられたアナ・ハンセンがオーナー・シェフを務める「モダン・パントリー」。カナダ生まれ、ニュージーランド育ち、敬愛する祖母は北欧人という背景から自然と身に付いた、ボーダーレスかつグローバルな食材のセレクトが彼女の料理の特徴だ。ラムやホタテ、ポークなどありふれた食材に、ゆず、味噌、溜まり醤油など日本の調味料や、中東のフルーツ・ハーブ、ときにはチョコレートや北欧のお菓子リコリスなどを使った全く新しいアプローチを用いて、計算し尽くされたおいしさを提供する。ロンドン中心部クラークンウェルにあるジョージアン様式のタウンハウスを改装した店内は、すっきりとした北欧風のモダンなインテリアが気取らず落ち着いた印象。オリジナルのエコ・バッグを始め、テーブルに並んだペストリー、デリの総菜やスープなど、お持ち帰りできる品々もお勧め。

The Modern Pantry写真左上から時計回りに、
Pulled Tamworth Pork, Coconut Flat Bread, Celery & Apple Slaw
£7.50
Seared Diver Caught Scallops, Jerusalem Artichoke Puree, Picked Carrot & Orange Salad
£8.70
Mojo Marinated Lamb Rump, Anchovy Roast Delica Pumpkin, Purple Sprouting Broccoli, Kalamata Olive Salsa
£21.50

The Modern Pantry The Modern Pantry The Modern Pantry

店名 The Modern Pantry
住所 47-48 St John's Square London EC1V 4JJ
TEL 020 7553 9210
最寄り駅 Farringdon駅から徒歩10分
Website www.themodernpantry.co.uk
オープン ランチ: 月 12:00-15:00、火~金 12:00-15:00、
土 11:00-16:00、日 11:00-16:00
ディナー: 月〜土 18:00-22:30(カフェは午前中から営業)

写真・取材 Sayaka Hirakawa

 

環境にも配慮したストリート・フード
Wahaca

Chef Thomasina Miers

ジャンクなメキシコ料理のイメージを覆し、風味豊かな新鮮食材を用いた新しいメニューで、TV番組「マスターシェフ」を勝ち抜いたトマジーナ・ミアーズ。その後も料理番組のプレゼンターとして活躍していた彼女が、2007年に「ワハカ」をオープン。今やロンドンで10店舗以上を構える人気店となった。気軽に楽しめるメキシカン・ストリート・フードをコンセプトに、見た目が鮮やかで栄養素にもこだわった、豊富なメニューを展開している。人気のタコスは、国産のチキンやビーフを挟んだものが人気だが、香ばしいバナナ・プランテンにブラック・ビーンズを添えた一品も、まさにラテンの味。メキシコ風のチーズ・フォンデュは、グルテン・フリーのトルティーヤ・チップスにつけて。ぴりりとした食感のサボテンのピューレが隠し味。良心的な価格設定でありながら、サステイナビリティ(持続可能性)へのこだわりや、食料廃棄物ゼロを目指した環境に配慮した企業姿勢も評判の良さを裏付ける。

Wahaca左上段から時計回りに、
Queso Fundido £4.85
Plantain Taco £3.95
Green Tenderstem Broccoli £3.95
MSC Herring £4.15

Wahaca Wahaca Wahaca Wahaca

店名 Wahaca
住所 68-69 Upper Street, Islington London N1 0NY(ロンドン各地に支店あり)
TEL 020 3697 7990
最寄り駅 Angel駅から徒歩15分
Website www.wahaca.co.uk
オープン 月~金 12:00-23:00、土 9:00-23:00、日 9:00-22:30

写真・取材 Sayaka Hirakawa

 

気取らずおいしい小皿料理を
Spuntino

Chef Rachel O'SullivanE

米ニューヨークはブルックリンのダイナーを模した「スパンティーノ」は、ソーホーで人気の「ポポロ」など、話題のレストラン・バーを手掛けるラッセル・ノーマンによる3号店。レンガむき出しのインダストリアルな雰囲気の空間に、カウンターのみが27席。予約を取らないポリシーを掲げる同店は、毎晩グラスを片手におしゃべりと料理を楽しむ人々でいっぱいだ。ここで腕を振るうのは、オーストラリア出身の女性シェフ、レイチェル・オーサリヴァン。豪メルボルンで培った感性が、イタリアン・アメリカンをテーマとした小皿料理に広がる。定番家庭料理のマック&チーズが一番人気というが、香ばしいトリュフ・オイルと卵の黄身を真ん中にのせた厚めのチーズ・トーストもシンプルながら抜群のおいしさ。甘いものに目がない人なら、濃厚ピーナッツ・バター・アイスクリームでラズベリー・ジャムを挟んだサンドイッチをお試しあれ。アメリカンな甘さと、さわやかな酸味のハーモニーがクセになるはず。

Spuntino左)Truffled Egg Toast £6
下左から2番目)
Peanut Butter & Jelly Sandwich
£6

Spuntino Spuntino Spuntino Spuntino

店名 Spuntino
住所 61 Rupert Street London W1D 7PW
TEL なし
最寄り駅 Leceister Square駅から徒歩10分
Website www.spuntino.co.uk
オープン 月~水 12:00-0:00、木~土 12:00-翌1:00、日 12:00-23:00

写真・取材 Sayaka Hirakawa

 

インターン生からの叩き上げ
Le Gavroche

Chef Rachel Humphrey

英国初のミシュラン3ツ星獲得店であり、「最も高級な料理」を提供するレストランとしてギネス・ブックにも登録された超高級店。現シェフのレイチェル・ハンフリーは、インターン生からヘッド・シェフまで上り詰めた。

Le Gavroche
写真 野尻翔冬

店名 Le Gavroche
住所 43 Upper Brook Street London W1K 7QR
TEL 020 7408 0881
最寄り駅 Marble Arch駅から徒歩10分
Website www.le-gavroche.co.uk
オープン ランチ: 月~金 12:00-14:00
ディナー: 同 18:00-22:00、土 18:00-22:00
 

英国を代表する女性シェフ
Restaurant Gordon Ramsay
at Royal Hospital Road

Chef Clare Smyth MBE

ミシュランの3ツ星を獲得、女性シェフとしては英国史上初めてMBEを受勲したクレア・スミス。ゴードン・ラムジーのレストラン・グループの一つであるこの超高級店では、シェフ・パトロンを務める。

Restaurant Gordon Ramsay at Royal Hospital Road
写真 野尻翔冬

店名 Restaurant Gordon Ramsay at Royal Hospital Road
住所 68 Royal Hospital Road London SW3 4HP
TEL 020 7352 4441
最寄り駅 Sloane Square駅から徒歩15分
Website www.gordonramsay.com/royalhospitalroad
オープン ランチ: 月~金 12:00-14:15 ディナー: 同 18:30-22:15
 

ゴードン・ラムジーの愛弟子
Murano

Chef Angela Hartnett MBE

英国随一のセレブ・シェフ、ゴードン・ラムジーの愛弟子として知られるアンジェラ・ハートネット。ラムジーが経営するレストランでミシュラン星を獲得した彼女が、創造性にあふれたメニューを提供している。

Murano
写真 野尻翔冬

店名 Murano
住所 20 Queen Street London W1J 5PP
TEL 020 7495 1127
最寄り駅 Green Park駅から徒歩5分
Website muranolondon.com
オープン ランチ: 月~土 12:00-15:00 ディナー: 同 18:30-23:00
 

あの映画のモデルになった
Connaught

Chef Hélène Darroze

ロンドンの老舗ホテルのコノートが、パリでミシュランの2ツ星を獲得したエレーヌ・ダローズを招聘。映画「レミーのおいしいレストラン」のモデルにもなったこのセレブ・シェフによる高級フランス料理が味わえる。

Connaught
写真 野尻翔冬

店名 Connaught
住所 The Connaught, Carlos Place, Mayfair London W1K 2AL
TEL 020 7107 8880
最寄り駅 Bond Street駅から徒歩10分
Website www.the-connaught.co.uk/mayfair-restaurants/helene-darroze
オープン ランチ: 火~金 12:00-14:00、土: 11:00-14:30 ディナー: 火~土18:30-21:30
 

素材を生かす技術に定評あり
Petersham Nurseries Café

Chef Cat Ashton

重要職の大多数を女性が占めるこの菜園内のカフェでヘッド・シェフを務めるのが、弱冠25歳のオーストラリア人女性、キャット・アシュトン。菜園で採取された新鮮な素材を生かす技術に定評がある。

Petersham Nurseries Café
写真 野尻翔冬

店名 Petersham Nurseries Café
住所 Church Lane, Off Petersham Road, Richmond Surrey TW10 7AG
TEL 020 8940 5230
最寄り駅 Richmond駅から徒歩20分
Website www.petershamnurseries.com
オープン 月~土 9:00-17:00、日 11:00-17:00
 

「サリーのお勧め」はいつも絶品
Clarke's Restaurant & Bar

Chef Sally Clarke MBE

パリやカリフォルニアで修業を積んだ後、自身の名前を冠したレストランをロンドンで開店したサリー・クラークもMBE受勲者。「サリーのお勧め」と題した3コース・メニューが人気。別店舗でベーカリーも運営している。

Clarke's Restaurant & Bar
写真 野尻翔冬

店名 Clarke's Restaurant & Bar
住所 122 & 124 Kensington Church Street London W8 4BH
TEL 020 7221 9225
最寄り駅 Notting Hill Gate駅から徒歩5分
Website www.sallyclarke.com
オープン ブレックファスト: 月~土 8:00-12:00
ランチ: 月~金 12:30-14:00、土 12:00-14:00
ディナー: 月~土 18:30-22:00

 

俳優 森山未來 インタビュー

俳優 森山未來インタビュー俳優 森山未來インタビュー

ロンドンにあるコンテンポラリー・アート・ギャラリーICAで行われた国際交流基金主催の巡回日本映画上映会。その会場に、俳優の森山未來がいた。「モテキ」と「苦役列車」という2本の主演作品の上映に合わせ来英した森山は、現在、文化庁の文化交流使としてイスラエルに拠点を置き、活動している。イスラエルの大都市、テル・アビブでダンサーとして、また一人の人間として何を思い、日々を過ごしているのか、聞いた。

森山 未來 Mirai Moriyama
1984年、兵庫県神戸市生まれ。幼いころからジャズ・ダンス、タップ・ダンス、クラシック・バレエ、ヒップホップなどのダンスを始める。1999年、宮本亜門演出「ボーイズ・タイム」で本格デビュー。その後、テレビ・ドラマ「さよなら小津先生」「ウォーターボーイズ」などの話題作に相次いで出演する。2004年、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」で主人公サクの高校生時代を演じ、日本アカデミー賞優秀助演男優賞など映画賞の数々を獲得。近年では舞台、映画、ドラマとジャンルを超え、幅広い活躍をみせる。最近の出演作品に、ミュージカル「100万回生きたねこ」、NHK土曜ドラマ「夫婦善哉」、映画「人類資金」など。現在、平成25年度海外派遣型「文化交流使」としてイスラエルを拠点に活動中。

皆が対等な立場でモノをつくる過程

スクリーン上で、男が路上で痰を吐き、好きな女性の手の甲を舐めて嫌悪され、唯一の友人に取り縋(すが)り金を無心する――日本中が好景気に沸いたバブル期にあって、性犯罪者の父を持ち、日雇い労働で生計を立てる中卒の19歳、北町貫多の半生を描いた映画「苦役列車」では、貫多の劣等感と虚無的な怒りが様々な場面でこれでもかとばかりに描かれる。酒で顔をむくませ、白パンツ一丁で路上をよたよたと走る、そんな目を背けたくなるほどの醜さをさらけ出して貫多役を演じているのは、俳優、森山未來だ。

「苦役列車」上映の直前、長めの髪を無造作にひっつめ、ブーツに細身のパンツ、ゆったりとしたチェックのシャツに身を包んだ森山が、一つひとつの質問に滔々(とうとう)と答えていく。話しながらしきりに動く、しなやかな腕や指先。イスラエルに滞在しているという意識があるからかもしれないが、どことなく無国籍な空気を纏(まと)ったような、不思議な佇まいが印象的だ。

文化的国際交流の発展を目的として、文化庁が芸術家や文化人を一定期間、海外に派遣する文化交流使制度。昨年、この文化交流使に指名された森山が選んだ国は、イスラエルとベルギーだった。あまり一般的な選択肢ではないように思えるが、そこには個人レベルでのつながりがある。2011年に日本を含む世界各地で公演が行われた「テヅカ」、12年末から13年にかけて上演されたミュージカル「100万回生きたねこ」。この2作品に出演した森山は、前者の振付を手掛けたベルギー出身のシディ・ラルビ・シェルカウイと、後者の演出・振付・美術を担当したイスラエル出身のインバル・ピントとアブシャロム・ポラックとの制作過程に魅せられた。

「テヅカでは、漫画家の手塚治虫が描いた世界感と同時に、漫画や文字――例えば日本の文字は象形文字からきていて、絵から文字に流れていくという歴史があり、そこから漫画へとつながっていくわけですが――、といった要素をも表現していきました。その際、例えば筆の動きを体で表現できないか、ということになったときに、コレオグラファーとしてラルビがいるのだけれど、トップダウンでダンサーたちに押し付けるのではなく、君はどういう表現ができるかと求めてきて、僕たちはそれに応えるという過程を体験できたことがすごく大きかった。そしてインバルたちとのクリエーションにおいても同じような感覚で仕事ができたんですね。舞台をつくる中で、ダンサーという存在と、コレオグラファーや芸術監督、もしくは演出家という存在が皆、対等な立場で物事をぶつけ合えるという環境がすごくいいなと感じました」。

森山未來
ICAで行われた巡回日本映画上映会のQ&Aセッションで

自分を「勇気づけてくれる場所」

森山の文化交流使としての生活は昨年10月、イスラエルの大都市、テル・アビブを拠点にするピントとポラックのダンス・カンパニーに籍を置き、彼らの作品制作にダンサーとして携わるという形で始まった。制作過程に興味を持ったとはいえ、文化環境の全く異なる世界に一人飛び込んでみて、違和感は覚えなかったのだろうか。「逆に健全だな、と思いますね」と迷うことなく答えた森山は、これまでの役者としてのあり方にこそ、少々の歯がゆさを感じていたようだ。

「今までも、10代のころから思うことはちゃんと言いたいと考えていたし、こういう風にした方が面白いという提案をしてきたつもりでした。でも自分の視野が狭かったりだとか、提示できる説得力が足りなかったりだとか、様々な問題で結果につながっていかなかった。それが『モテキ』や『苦役列車』を通して、少しずつかなっていったというか、バランスが取れてきたんです。大根監督(『モテキ』)や山下監督(『苦役列車』)と作っていくプロセスは、こう すれば面白いだろうなというイメージと自分が表現できることのバランスがある程度とれていたと思うし、それを大根さんも山下さんも受け入れてくれる環境があったということが重要だったなと思います。だから今、インバルのカンパニーでやっているあり方というのは、自分の中ではとても自然なんです」。

自身の役者としての成長が、こうした制作過程への適応能力とでも呼ぶべき素地を与えてくれた。しかしそれだけでなく、やはり海外で活動しているということが及ぼす影響が大きいとも感じている。創作現場であるなしに関わらず、日本では誰かが誰かに対し、集団の中で意見を言うことがあまり許される風潮にはない。「その中で意見をぶつけていくこともできると思うんですよ」、そう言う一方で、その姿勢を貫くむずかしさを静かに語る。「周りのそういう視線に耐えながら、気付かないふりをしながら、傷つきながら、でも俺は思うことを言っているんだからってやり続ける。柔らかい感情を保ち続けるのは難しいのではないかなと自分は思います」。決して声を張り上げているわけではないのに、関西独特の穏やかな抑揚に乗せて運ばれる言葉がすっと耳に届く。皆が自由に意見を言って、自由に同意して、拒否する、そんなテル・アビブの制作現場は、自然であると感じると同時に自分を「勇気づけてくれる」場でもある。こうした環境や、その中で活動している人間の気持ちをじっくりと観察して、日本に戻ったときには、特に舞台制作の場に還元したい、と考えている。

森山未來 映画「モテキ」
映画「モテキ」より。様々な女性に翻弄される藤本幸世役を
テレビ・ドラマに引き続き演じた森山未來(写真右)と、
幸世の会社の上司、唐木素子役の真木よう子(同左)

肉体的で刹那的なパフォーマンス

現在、森山が滞在しているイスラエルは、非常に特異な状況下に置かれている国だ。近隣諸国との国交は一部の例外を除き断絶しているのに加え、アラブ人が住むパレスチナ自治区との紛争は、今なお解決の兆しも見えない。そんな政情不安を抱える国にあって、森山の住む大都市、テル・アビブは、文化的中心地として知られ、治安も良いとされているが、日本はもとより、英国の日常生活ともかけ離れた一面を見ることも多い。「カンパニーの中にも兵役義務で軍隊に所属している子がいるんですよ。イスラエルの兵役は男性が3年、女性は2年。彼も大丈夫だとは言っているんですが、もしかしたらそのまま帰らぬ人になる可能性がないわけではない。兵役に就いている人間は、休みの日には私服を着ていてもいいけれど、拳銃は持って歩かなきゃいけないんです。バスの中でも、ショッピング・センターにも、私服で拳銃抱えてる人たちがいる。それが彼らの日常なんです。だから(生と死が)紙一重の中で生活しているって言ってしまえると思うんですよね」。

そんな環境下で生まれたイスラエルのパフォーマンスを「刹那的」だと感じるという。粗削りだけれども、理論や理屈を超えてしまったところにある舞台上のパフォーマーたちの肉体性。それは良い悪いではなく、イスラエルという国の持つパワーになっているのではないだろうか。そしてもう一つ、イスラエルという国が建国してからまだ70年も経っていない、非常に若い国ということも大きいのではと森山は考える。

「最初のころ、国はテル・アビブという場所を芸術の街にしようと、ゲリラ的に起こるパフォーマンスを放置し続けたそうなんです。だからすごく大きなものからアンダーグラウンドなものまで混沌としていて。それを認めたという最初のきっかけがすごく良かったんじゃないでしょうか。芸術とか表現というものが人の心を支えていた時代がきっとあったと思うんです。今も同様にしてあると思うんですけど。その流れが、世界的に知られるイスラエルのコンテンポラリー・ダンス・カンパニーであるバットシェパ舞踏団のダンスのような、肉体的で刹那的なパフォーマンスを生み出したのだと思います」。

森山未來
映画「苦役列車」より。北町貫多を演じる森山未來(写真左)と、
貫多のたった一人の友人、日下部正二役の高良健吾(同右)

歪で生々しい美しさ

森山がイスラエルで籍を置くインバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンス・カンパニーは、バットシェパ舞踏団に所属していたピントとポラックが独立して立ち上げたカンパニーだ。ダンス、という一言でくくることのできない、幻想的で、でも人間の生(せい)を強く感じさせる摩訶不思議なその世界感は、日本を含む世界各地でも高い人気を誇る。なぜ、森山は彼らのつくる作品に惹かれたのか。

「彼らの表現っていうのは、刹那であると同時にすごく『歪(いびつ)さ』を感じるんです。代表作の『オイスター』では、手がない人や、手と足がつながっている人たちが出てくる。サーカス、それも煌びやかなのじゃなくて、かつて社会不適合者とされた人たちが国から援助されていない状況で、生きていく術(すべ)として日本の寺にあった見世物小屋のような感覚のものをつくっているんですね」。これは僕の勝手な妄想なんですけれど、と前置きした上で、ピントやポラック自身にも、彼らがつくり出す作品と同じようなものを感じると続けた。

「イスラエルには徴兵制があるけれども、抜け道もあるそうなんです。蝶ネクタイを着けてお坊ちゃんみたいな恰好をして精神的に不安定であるというキャラクターを自分で演出して演じて、徴兵検査で自分がいかに兵役に不適合であるかをアピールする。日本でもかつては兵役を免れるためにしょうゆを一升飲んだ、なんていう話を聞いたことがあります。しょうゆ一升飲むって想像もつかないけれど、でもなんだか想像できちゃうじゃないですか。体がこんな風になって動けなくなる。……インバルたちにも同じような空気を感じるんですよね。すごく退廃的な雰囲気の中で明るく振る舞う見世物小屋やサーカスのような舞台上に立っていることにこそ理由がある。そこにいないと生きていけない。あえてそこを選ばないと生きていけない環境に私たちは立たされているのだ、という。そういう風に見えるんですよね」。

しょうゆのくだりで「体がこんな風になって……」と言いながら、森山は全身を振るわせてみせた。その瞬間、彼がこれまで演じてきた作品の数々が頭を去来する。去勢手術に失敗した男が愛を求め生きる姿を見せていく「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」や、ある日突然虫になっていた男の顛末を描いたカフカの代表作「変身」といった舞台に、突然女性にモテ出した29歳童貞男の紆余曲折を赤裸々に綴る「モテキ」、そして今回上映された「苦役列車」―― ダンサーとして卓越した身体能力を持ちながら、完全なる美をあっさり放棄して人間の持つ生々しさ、不完全さをとことん追求することを恐れないその姿勢。「苦役列車」の主人公、貫多の破天荒な人生を「アナーキズムじゃなく、ただまっすぐ生きている」と表現し、ダメ男ぶりをとことんリアルに垂れ流すように見せつけるその様は、どこか彼の描写するピントやポラックらの生き様とつながっていく。

淡々と話しているのにその言葉は熱く、飄々(ひょうひょう)としているのにその体が雄弁に物語る。文化交流使としての道のりはまだ、半分にも満たない。1年という月日を過ごした森山未來が、どのようなクリエイターとして日本に戻ることになるのか、今はまだ分からないが、コレオグラファーや演出家たちと意見を戦わせ、ときに同意し、ときに拒否し、人間の持つ美しさや醜さをひっくるめた生々しさを投影して一つひとつの作品をつくり上げる過程の只中にいる森山未來が今、とても伸びやかに生きているように見えることは確かだ。

 

豪華客船で往く旅の愉しみ

豪華客船で往く旅の愉しみ豪華客船で往く旅の愉しみ
豪華客船で往く旅の愉しみ

旅の魅力は目的地だけでなく、その行程にこそある
――かつて世界の海を制した英国の豪華客船の歴史と伝統を今に残す
キュナード社のクルーズでは、停泊地での観光以上に、
洋上で過ごす時間こそが何より強い輝きを放つ。
自分のこれまでの日常を振り返り、人生における喜びに思いを馳せる、
そんな一味違う船旅の体験を綴ってみたい。

キュナード社とは?

1839年創立のキュナード社は、英国政府公認の郵便事業を担う海運会社として活躍。その後、長距離旅客輸送から船旅を楽しむクルーズへと比重を移し、1922年には業界初となる世界一周クルーズを敢行するなど、クルーズ・ラインの先駆者として世界的な認知度を誇る。保有する客船には歴代女王の名前を冠することが許されており、現在はクイーン・エリザベス、クイーン・メリー2、クイーン・ヴィクトリアの3隻が就航している。

キュナード社のクルーズ客船の魅力

19世紀から20世紀にかけて特権階級に愛された豪華客船の歴史と伝統を守り続けるサービスが特徴。客室はいくつかのカテゴリーに分かれており、それぞれ専用のダイニングを利用する。また、クルーは全員、クルーズ黄金時代から受け継がれてきた伝統のサービス「ホワイトスター・サービス」を習得。正装での出迎えから毎夕のターンダウン・サービスまで、英国正統派のサービスを提供している。

今回の旅のルート

1月6日出発の「ハンブルクを訪ねるショートクルーズ 5日間」。英サウサンプトン発着、3日目朝に独ハンブルクに到着し、夕方出航。それ以外は洋上での生活を送る。このほか、地中海やエーゲ海、アドリア海の都市を回るツアーや、3~4カ月かけて世界一周するワールドクルーズもある。ワールドクルーズは一部区間のみ参加することも可能。

Q & A

Q: 費用はどのくらい掛かる?
A: 今回のルートの場合、一人249ポンド(Inside(窓なし)カテゴリー、燃料費込、2人で宿泊の場合)~

Q: 料金には何が含まれる?
A: 宿泊、専用ダイニングでの食事(朝・昼・夕)、エンターテインメント
(スパやシアターのボックス席、カジノなどは有料)など。

Q: チップは毎回払うの?
A: 設定されている金額(一日10ドル前後)を最後の精算時にまとめて支払う形。設定金額は船上で変更することも可能。

洋上に広がる別天地

2014年の年明け、イングランド南部の港町サウサンプトンへ向かうと、白く泡立つ荒波にびくともせず巨大な船がそびえ立っている。はるか頭上まで数えきれないほどの小窓が並ぶその様は、船というよりも水上に浮かぶ街のようだ。これから、エリザベス女王の名を冠した豪華客船クイーン・エリザベス号に乗り込み、ドイツ・ハンブルクに停泊し、再びサウサンプトンへと戻る5日間の旅に出る。

雄大に佇むクイーン・エリザベス号
雄大に佇むクイーン・エリザベス号

空港同様のセキュリティー・チェックを経て、いよいよ船内へ。白手袋をはめて正装し、胸元にバラの花を飾ったクルーたちが笑顔で出迎えてくれる。目の前には、真っ直ぐどこまでも続く廊下。軽やかに流れるハープの生演奏に耳を傾けつつ進んでいけば、3層吹き抜けになったグランド・ロビーでは、寄木細工の壁画が柔らかい光に包まれて広々とした空間を見下ろしている。カフェではコーヒー片手にのんびり談笑している人たちの姿。何を指示されるでもなく、客の一人ひとりがこの広大な空間を自由気ままに満喫している。長い道のりを経てデッキ8(8階に相当)の船尾にある最上級カテゴリー「Queens Suite」の客室の扉を開くと、目の前には一流ホテルのスイート・ルームさながらにゆったりと配置されたベッドとソファ。バスルームにはバスタブにシャワー・ルーム、そして2人が同時に悠々使える洗面台。ウェルカム・シャンパンとチョコレート、フルーツの盛り合わせに思わず口元が緩んでしまう。港で預けた荷物を、専属のアシスタント・バトラーが運んできたと思ったら、その後はメイン・バトラーが別のスタッフを連れてにこやかに挨拶に訪れる。時計の針の進み方さえゆっくりになったような別世界での日々が突然、幕を開けた。

豪華客船で往く旅の愉しみ

時間の使い方は千差万別

驚くほどに何の束縛もなく流れる船内の一日は、部屋の入口に置かれた「Daily Programme」をチェックすることから始まる。全船放送などほぼないこの旅での貴重な情報源となるリーフレットには、その日一日の航路や天候、各エリアのオープン時間、エンターテインメントの詳細までが事細かにまとめられている。逃せないイベントをざっとチェックしたら、朝食へ。食事は3食、客室カテゴリー別に用意された専用ダイニングへ赴くことになるが、ほぼ24時間オープンのビュッフェ「Lido」や、予約客のみ受け付けるフレンチ・レストラン「The Verandah」などを利用することも可能だ。ちなみに今回利用したのは最高峰の「Queens Grill」。次のカテゴリーに相当する「Princess Grill」とともにデッキ10に位置し、利用客以外はフロアへの立ち入りが禁じられている。豪華客船の最高峰と聞くと怖気づいてしまいそうだが、スタッフの、スマートさの中に親しみを含ませたサービスには堅苦しさの欠片もない。一方のゲストたちも、さすがに慣れた風情のカップルや家族が多いが、朝ともなればポロシャツやチノパン、ニットにスカートなど、かなりカジュアルな服装で一日の始まりを気楽に過ごしている。メニューはコンチネンタル風からフル・イングリッシュ・ブレックファスト、ときにはフィレ・ミニョンや和朝食まで用意されるという幅広さ。一日中船上という日には、ゆっくり時間をかけて味わいたい逸品ばかりだ。

食事が終わったら、図書室で本を読むも良し、カード・ルームでブリッジに興じるも良し。行動派は朝からジムで汗を流しているし、美を追求する女性たちはジャグジーで身も心も開放させている。午前中から夕方にかけてはパター・ゴルフのコンペ、ピラティスやハーブ療法のセミナーにボールルーム・ダンス(社交ダンス)のレッスンなど、参加型イベントが盛りだくさん。つい夢中になって、専用ダイニングの昼食時間に間に合わない、などということも。そんなときにはビュッフェでサンドイッチをつまんだり、ラウンジやホールで供されるアフタヌーン・ティーを楽しむこともできる。

夜の帳が下りると

緩やかに濃密な時間が過ぎ、やがて夕方6時を迎えるころになると、周りの様子が変わり出す。この時間を過ぎたらカジュアル過ぎる服装(デニムや短パン、サンダルなど)は避けるよう伝えられているので、皆、カジュアル・スマートに着替えて夜の時間がスタート。同じ空間でもほんの少しかしこまった空気が流れるのがまた面白い。こちらも少々おめかしをしてまずは夕食。朝とは打って変わってスーツや膝丈ドレスに身を包んだゲストたちが、ディナーの一品一品に舌鼓を打っている。メニューは前菜、サラダ、メイン、デザートそれぞれ数種の中から選ぶか、アラカルトから注文。カロリー控えめの「スパ・セレクション」もある。どれも街の一流レストラン並みの味とデコレーションだが、特にお勧めなのがアラカルト。鴨肉や舌平目はワゴンで運ばれ、目の前でソースと絡めて切り分けてくれる。付け合わせの野菜やソースの変更などにも柔軟に対応してくれるサービスぶりに、お腹も心も満たされる。

舌平目のグリルとデザート
舌平目のグリルと繊細な盛り付けが光るデザート

ディナーを心ゆくまで味わったら、次はエンターテインメント。点在するバーやカフェの前ではピアノやハープの生演奏が繰り広げられ、静かに話をしながら親しみやすいメロディーに耳を傾けている人たちがいる。英国風のパブ「The Golden Lion」で軽快なジャズの旋律が鳴り響いているかと思えば、「The Yacht Club」では深夜までDJが選曲するアップテンポな曲に合わせ、人々が軽快に踊っている。そんな中、特に人気なのは、「Royal Court Theatre」での催し物と、「Queens Room」で行われるボールルーム・ダンスだ。一夜に2回、音楽やダンス、演劇などの演目が催される劇場は、ウェスト・エンドにも引けを取らない本格派。今回の旅ではビートルズの人気曲をバンドが演奏するライブや、オケの生演奏付きのダンス・ショーなどが行われたが、ボックス席以外は無料ということもあってか、毎回立見客も出る盛況ぶりだった。そして豪華客船ならではのメイン・イベントとも言えるのが、ボールルーム・ダンス。バンドの生演奏を背景に、ライトアップされたフロア上に、腕を組んだカップルたちが滑り出す。プロ顔負けにフロア中を軽やかに回るカップルがいるかと思えば、まだ覚えたてのステップを試すように踊るカップルもいる。フロア近くのテーブルでは、曲が始まるや、一人で座っている女性たちに白いスーツを着込んだ男性たちが優雅に手を差し出してダンスを申し込む。彼らはダンス専門クルーで、一人で参加していたり(船ではソロ・ゲストと呼ばれる)、女性同士で乗船した人たちのパートナーになるというわけだ。互いに体を寄せ合い、仲睦まじげにステップを踏む老夫婦、エネルギーいっぱいの母親をスマートにエスコートする息子、時折耳元で何かを囁きながら笑い合うクルーとソロ・ゲスト――彼らが踊る様を1デッキ上のソファから眺めていれば、あっという間に時間が流れてしまう。ずっと船上にいるなんて、退屈ではないだろうか、そんな風に思っていた一日は、瞬く間に過ぎ去っていく。

「フォーマル」な世界を楽しむ

今回の旅では中日に唯一の停泊地ハンブルクに到着し、朝から夕方までの間、ゲストたちは観光ツアーに参加したり、各自で街の散策を楽しんだが、このクルーズ最大の盛り上がりは、その前夜にこそあった。気軽にクルーズを楽しめる客船も増えてきた昨今だが、あくまで歴史と伝統にこだわるクイーン・エリザベス号の船旅で、これぞ真骨頂ともいえるのが「フォーマル・ナイト」。上流階級の紳士淑女が夜な夜なパーティーを繰り広げていた19~20世紀当時の船上の様子を今に再現する。船旅初心者としては、フルレングスのドレスでなければならないのか、手袋は必須なのか、などと事前に心配してしまったが、夕方になって部屋の中で、用意したドレス(ふくらはぎ丈のブラック・ドレス、手袋なし)に腕を通し、化粧直しをしているうちに、不思議と心が躍り始める。一歩部屋の外に出れば、タキシードに蝶ネクタイの男性がロング・ドレス姿の女性を優雅にエスコート。少し意識的に背筋をピンとさせながらダイニングまで行くと、燕尾服を着たマネージャーが挨拶してくれる。いつも決まったテーブルで食事を取るため既に見慣れているはずのほかのゲストたちも、服装だけでなく立ち居振る舞いまでがどこか違う。優雅な気分で食事を終え、船内をそぞろ歩けば、皆、思い思いに「フォーマル」な装いを楽しんでいる。ネクタイ姿の男性もいれば、ひざ下丈のワンピースを着た女性ももちろんいるが、共通しているのは「TPOをわきまえ、かつ楽しむ」ということ。フォーマル・ナイトは堅苦しさではなく、ほんの少しの心地良い緊張と、高揚感を与えてくれる特別な夜なのだ。

フォーマル・ナイトはクルーも正装で
フォーマル・ナイトはクルーも正装で

豪華客船で往く旅の愉しみ

「水上の街」を支える人々

今回乗船したクイーン・エリザベス号の客室数は約1000室。約2000人のゲストに対し、クルーは何と1000人ほどいるという。客室付きのバトラーやアシスタント・バトラー。朝と夕方の2回行われる部屋の清掃を担当するルーム・スチュワード(スチュワーデス)、シェフやユーティリティー・スタッフ、ランドリー担当などなど、この豪奢な世界は様々な人たちの手によって支えられている。ゲストの視界に入る世界は常にさりげなく、かつ厳密に整えられており、その手際の良さとクオリティーの高さは驚くべきものだ。

「船上のシェフ」クラウスさん
「船上のシェフ」クラウスさん

船内のすべてのギャレー(厨房)を取り仕切るエグゼクティブ・シェフ、クラウスさんは、この道26年の大ベテラン。「この仕事に興味を持ったきっかけは、生まれ故郷のドイツで観た、豪華客船のテレビ番組。もちろん、働く立場になってみればテレビとは違う面も見えてきますが(笑)、26年間も続けているのですから、やりがいがある素晴らしい仕事であることはお分かりいただけるでしょう」。船上では一週間に7日、休みなしで一日11時間働くという。それでも休暇中には勉強のために別の船会社のクルーズに参加するというから、根っからの「船上のシェフ」だ。いくつものダイニングやパブ、クルー用食堂の屋台骨となる複数のギャレーのトップに君臨するクラウスさんは、クルーズの始まる約3週間前(長期の場合は約3カ月前)から各地にいる食材担当マネージャーと連絡を取り合い、肉や魚介、野菜などをどの程度準備するのかを決定。主要な停泊地で積み込まれた食材は、17もの巨大な冷蔵庫や冷凍庫、乾物庫に、食材ごとに分けて保存される。「船のメリットは、何人のお客様が食事をされるか、前もってある程度把握できることですね」と軽く言うが、一定期間に一定量の食材を使い、最高級の料理に仕上げるバランス感覚は、並大抵のものではないだろう。

旅が大好きと語るオルガさん
旅が大好きと語るオルガさん

船内全体の清掃担当マネージャー、オルガさんもドイツ出身。「ドイツ人は船が大好き。クイーン・エリザベス号がハンブルクに到着するときには、船の雄大な姿を一目見ようと早朝でも市民がやって来るんですよ!」と笑う。ホテル・ビジネスを学んだ後にキュナード社へ。ルーム・スチュワーデスやバトラーを経て、現在の地位に上り詰めた。以前、米国人家族のオーペアをしながら一年間、その家族とともに旅行した際に、旅の魅力にとりつかれたというオルガさんにとって、船での仕事はまさに天職だ。8年間、船上で働いて変化したと感じる点があるか尋ねたところ、「ゲストの方々はより国際的になってきたと思います」と言う一方で、「私たちが提供する伝統的なサービスの質は変わりません」と誇らしげに言い切った。

スポーツ万能アダムさん
スポーツ万能アダムさん

子供連れの家族にとって強い味方となるのがキッズ・ルームのクルーたち。お子さん連れの両親が自由に旅を満喫できるよう、年代別のエリアを設置。お絵描きや人形遊びなどを楽しめる年少者向けのエリアに対し、10代の子供たち対象のエリアはダーツやコンピューター・ゲームなどが用意された大人顔負けの仕様になっている。ユース・ダイレクターのアダムさんは、大学でスポーツ・サイエンスを修め、ジムでサッカーなどを教えていた経験を持つ。そのほかのクルーも皆、チャイルドケアの国家資格保持者など、この道のエキスパートばかり。年末年始の休暇明けということもあって今回は比較的、子供の数が少なめだそうだが、夏ともなれば100人以上もの子供たちが船に乗り込むことがあるというから大忙しだ。子連れの家族でも大人と子供のそれぞれが旅を楽しめるのも、この船の魅力の一つだといえよう。

船の達人は人生の達人

多芸多才なジャニスさん
多芸多才なジャニスさん

午前中はカジュアルにくつろぎ、夜ともなれば煌びやかな空間にしっくりなじむ――クイーン・エリザベス号のゲストたちは、とにかく「楽しむ」ことの達人だ。比較的高齢のご夫婦が多いが、若いカップルや子供連れの家族など、様々な年齢層や形態のゲストたちの姿も見える。驚いたのは、一人で参加しているゲストが多いことだ。「この仕事をしていて最も楽しいのは、ソロ・ゲストとの出会い。クルーズではソロ・ゲストの方々が集うイベントも開催していて、大勢の方たち、特に女性がお一人で気軽に参加されています」と話してくれたのは、ソーシャル・ホステスのジャニスさん。ある日の夜は正装し、ボールルームで司会を務めたかと思えば、別の日には燦々と日が差し込むラウンジで刺繍のクラスを担当する影のエンターテイナーだ。 

毎日ダイニングで顔を合わせていた2人の女性ゲスト、ジルさんとリンダさんはともに英国出身。3年前にクルーズ旅行で知り合ったという2人は、部屋は個別に取り、余暇の時間を一緒に楽しんでいる。既に世界中の国々をクルーズで回っているという船旅上級者の2人。以前はそれぞれ夫とともに旅行していたが、病気で先立たれ、その後は単身、クルーズ旅行を続けている。もともとご主人それぞれが病や障害を負っていたため、サポート体制が整っていて、重い荷物を持ち運びする必要のないクルーズ旅行を重宝していたが、現在では「とにかく安全なのが女性の一人旅にはありがたい」とその良さを語る。「そうじゃないこと、リン?」としきりに同意を促すジルさんにテンポ良く相槌を打ちながら、「まだ夫がいると思っているから、ソロ・ゲスト用のイベントには参加しないの」と隣でお茶目に笑うリンダさん。船上で生まれた人間関係が、こうして後々まで続く友情に発展することもある。

船で友情を培ったジルさんとリンダさん、ダンスが趣味のクインさんご夫妻
船で友情を培ったジルさんとリンダさん(左)、
ダンスが趣味のクインさんご夫妻(右)

「私たちにとってクルーズの旅は、クレージーでファンタジーにあふれる夢の世界なの」。船旅の魅力をこう評してくれたのは、ロンドン在住のクインさんご夫妻。「すべてがオーガナイズされていて時間通り、何の責任もなくただ楽しめる」クルーズの旅を、15年にわたり毎年楽しんでいる。「もはや家に戻ってきたような気持ち」で船に乗り込むが、例えば地中海クルーズだと、船に滞在するのは夜間だけで、日中は違う都市に停泊するから、毎日新鮮な気持ちで旅を続けられる。クルーズをきっかけに始めたというボールルーム・ダンスの腕前はかなりのもの。そっと体を寄せ合って踊る2人の姿を見ていたら、何だかこちらまで幸福な気持ちになってきてしまった。

船旅も終わりに近付いて

日々、新たなる扉を開けるように刺激を受け続けた旅も折り返し地点を過ぎると、船上で起こる出来事に対し抱く感情に微妙な変化が生じてくる。ダイニングではテーブル専属のクルーが各人の好みを把握し、「あなたはミルクティー、あなたはコーヒーですよね」とこちらが注文する前から話し掛けてくる。前夜ボールルームで知り合ったご夫婦とともに食事をしたいとテーブルを移動し、4人でワインを飲み交わすゲストの姿もある。何度か顔を合わせていた人に思い切って声を掛けてみれば、実は共通の知人がいることが分かったり、自分の部屋を担当しているクルーから自宅の母親のもとに残してきた息子さんの話を聞いたり。巨大な船全体に、ほのかな連帯感のような空気が漂うようになってくる。「旅先で出会う人たちと話をするのが好き」という人は多いが、船旅ではそれよりもう少し深く、人との関わりを味わうことができるのだ。

朝焼け人生の記念にと生まれて初めて船旅に参加した人、一年の半分以上を船上で過ごす人。数千人もの人々をのせた船は、最終日前夜、真っ暗な海をしぶきを上げつつひたすら進んでいる。船尾にある部屋のベランダからは、くっきりと北斗七星が見える。明朝にはサウサンプトンの港に到着すると思ったとき、心に浮かんだのは何より、船を楽しみ、人生を謳歌している人たちとの別れを惜しむ気持ちだった。船旅の魅力の、ほんの一端を味わうことのできた5日間。船の達人、人生の達人までの道のりは、まだ始まったばかりだ。

 
 
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