シェイクスピアが活躍した16世紀に花開いたという英国の劇場文化。 その伝統は現在も脈々と息づき、人々の週末スケジュールに舞台やコンサートの観賞予定が入っているというのもよくあることだ。
そういった習慣の下、観賞前後の食事も、特別な夜を楽しむためのエンターテインメントの一環として捉えられている。
劇場にももちろんレストランやバーが併設され、観客が気持ち良く観賞できるよう趣向を凝らした空間作りがなされているようだ。
今回、取材したのは、そんな劇場併設レストラン。
観て聴いて味わって堪能する、とっておきの夜をどうぞ。
開演前はほぼ満席! 人気のシアター・ダイニング
Café Bar @ The Royal Court Theatre
新進気鋭の脚本家による新作を世に送り出すために創設されたロイヤル・コート劇場。地下からさらに凹んだオーケストラ・ピットのようなカフェ・バーは、開演前の時間帯は観劇客らでぎっしりと埋まる人気で、「ロイヤル・コートで芝居を観るなら食事もここで!」という常連も多いという。メニューは英国料理を中心に、上演作品の客層に合わせて入れ替わる。定番の「スモークド・フィッシュ・ボード」は、日替わりの鮮魚2種が盛られ、2人でシェアできるほどのボリュームながら7.50ポンドとリーズナブル。といってクオリティーに妥協があるわけではなく、サバのスモークは脂のりが程よく前菜にぴったり。サラダに入っている赤と白のコントラストが鮮やかなラディッシュは、まるで日本のカブのような甘みが感じられ、できるかぎり英国産の食材を、というポリシーにも納得の味だ。毎週月曜日には鑑賞券が10ポンドで限定販売されるので、観劇と合わせて訪れたい。
写真下)Smoked Fish Board £7.50, San Marco £7.25
| 店名 | Café Bar @ The Royal Court Theatre |
|---|---|
| 住所 | Sloane Square, London SW1W 8AS |
| TEL | 020 7565 5058 |
| 最寄り駅 | Sloane Square駅より徒歩1分 |
| オープン | 月~土 12:00-深夜 (食事は20:00 まで) |
| Website | www.royalcourttheatre.com |
演劇界の「今」を感じる刺激的なレストラン
The Cut Bar @ Young Vic
若い俳優や監督に実験的な発表の場を与えるため、1970年代にオープンした劇場。力のある若い才能が見られるだけに、目の肥えた演劇ファンが集う。初めて訪れたなら、客席から手が届きそうな距離に立つ俳優たちに戸惑うかもしれないが、気が付けば巻き込まれるように夢中になってしまうだろう。2フロアからなるバー&レストランは、吹き抜けの開放的な空間が魅力。朝食から、しっかり食べたいディナーまで、幅広いチョイスが用意されている。中でもお勧めは、「ロックフェラー・バーガー」。肉厚なパテに加えて、ベーコン、チーズ、ソテーしたほうれん草、そこにオイスターまで詰まった、まさに米NY のロックフェラー・ビルを髣髴とさせる巨大なバーガーだ。クリーミーなソースとほうれん草の甘みが肉のうまみを引き立てる、類い稀な味をぜひ試してみたい。開演前に注文をしておけば、幕間ぴったりのタイミングでテーブルとドリンクが用意されるサービスも。
写真下)Rockefeller Organic Beef Burger £9.50, Grilled Portobello Mushroom & Jura Cheese £7.25, Free Range Chicken, Bacon and Mayo Wraps £4, Nachos £3.75
| 店名 | The Cut Bar @ Young Vic |
|---|---|
| 住所 | 66 The Cut, London SE1 8LZ |
| TEL | 020 7928 4400 |
| 最寄り駅 | Southwark 駅より徒歩3分 |
| オープン | 月~金 9:00-11:00/12:00-23:00 土 10:00-11:00/12:00-23:00 日休 |
| Website | www.thecutbar.com |
旧チョコレート工場でいただくモダン・ブリティッシュ
Menier Chocolate Factory Restaurant
1870年に建てられたフレンチ・チョコレートの工場が、レンガの壁や鉄の柱などインダストリアルなパーツを残したまま、劇場に変身。客席数180と小規模ながら、数々の賞を受賞した話題の作品が多く、ここで成功を収めたミュージカルは、ウェストエンドの大きな劇場で上演されることもあるという。ミュージカルのポスターが壁を飾る店内では、旬の食材を使ったモダン・ブリティッシュ・フードが楽しめる。夏には口当たりのさわやかな冷製ガスパッチョ、秋口には体をぽかぽか温めてくれる季節の野菜を使ったスープが人気だ。もちろん肉や魚のメイン料理も豊富。まろやかな子牛のレバー・ステーキにたっぷりのマッシュポテト、ジューシーなポーク・ベリーといったボリューミーな料理が食欲をそそる。満腹になっても、看板メニューの「メニエ・チョコレート・ブラウニー」は断然別腹。信じられないほど濃厚な深い味わいは、やみつきになるおいしさ。
写真下)Pan Fried Calf's Liver £16, Chicken Cordon Bleu Stuffed with Parma Ham & Brie, with Creamy Mash Potatoes & Buttered Spinach £15
| 店名 | Menier Chocolate Factory Restaurant |
|---|---|
| 住所 | 53 Southwark Street, London SE1 1RU |
| TEL | 020 7234 9610 |
| 最寄り駅 | London Bridge駅より徒歩10分 |
| オープン | 火~土 12:00-15:00/17:30-23:00 日 12:00-15:00 月休 |
| Website | menierchocolatefactory.com |
世界の味を楽しめる、上品なタパス・スタイル
Barbican Lounge @ Barbican Centre
ブルータリズムと呼ばれる、冷たい印象の打ちっぱなしコンクリート建築が賛否両論に語られることもある文化施設バービカン。とはいえ、コンサート・ホール、劇場、映画館、ギャラリーを備えたこの施設は、超一流のエンターテインメントを幅広く楽しめる場所として人気が高い。2階(レベル1)に位置するレストラン「バービカン・ラウンジ」は、こっくりとした深いブルーに赤が際立つミッド・センチュリー・モダン風のインテリア。「色々な味を試してみたい」という声に応えた、タパスのような小皿料理が並ぶ。完璧な固さに仕上げたアスパラガスと、7種のトマトが彩り良く盛り付けられたサラダ、スロー・クックでたっぷりとうまみを閉じ込めたオッソブッコ(仔牛のシチュー)のニョッキなど、想像力に富んだ美しい料理の数々は、まるでアート作品のよう。毎月季節の味が加わるメニューから、好きな6皿を選べるセット(27ポンド)もお勧めだ。
写真下)Truffe & Osso Bucco Gnocchi £8.50, Pan Fried Polenta Chips £4.50
Rosary Goat's Cheese & Asparagus £6
| 店名 | Barbican Lounge @ Barbican Centre |
|---|---|
| 住所 | Silk Street, London EC2Y 8DS |
| TEL | 020 7382 6180 |
| 最寄り駅 | Barbican駅より徒歩5分 |
| オープン | 月~土 12:00-20:30 日 12:00-19:30 |
| Website | www.barbican.org.uk |
ワインとともにステージを楽しむ
St. James Theatre Studio Bar
今年9月、バッキンガム宮殿のほど近くに小劇場がオープンした。312席のシアターとレストラン、そして2つのバーを備えた建物内には往年のスターたちの白黒写真が飾られ、歴史や伝統を重んじることの多い英国の劇場とは一味違った、モダンな雰囲気が漂っている。「臨場感のあるステージをリラックスして楽しんで」と設けられた「スタジオ・バー」は、ショーが開催される日のみオープン。木曜はコメディー、金曜はジャズなど、週末にかけて様々なショーが催されており、厳選されたワインを嗜みながら、目と鼻の先にあるステージで繰り広げられるショーを鑑賞できる。ミニ・バーガーやサラダなどのスナックが3.50ポンドから用意されているほか、ワインもボトルで16ポンドからと比較的リーズナブル。入店に際しショーのチケット購入が必須となるが、チケットは10ポンドからと、こちらも手頃だ。カジュアルに、でも本格的なショーを堪能できる穴場スポットになりそう。
写真下)Bar Snack £3.50~, Mas de la Source £5.95
| 店名 | St. James Theatre Studio Bar |
|---|---|
| 住所 | 12 Palace Street, London SW1E 5JA |
| TEL | 0844 264 2140 |
| 最寄り駅 | Victoria駅より徒歩5分 |
| オープン | 木~日 マチネの前後 / 18:00-深夜 |
| Website | www.stjamestheatre.co.uk |
空高くまで突き抜けるような開放感を
SKYLON @ Royal Festival Hall
クラシック音楽の殿堂、ロイヤル・フェスティバル・ホールの2階に位置するのがこちら。テムズ河を臨むガラス張りで開放感に満ちた店内は、コース・メニューのみを提供するフォーマルなレストラン、カジュアルなグリル、バーの3つに分かれている。数々のミシュラン・シェフを育てたピエール・コフマンの下で修行したフィンランド出身のヘレナ・プオラッカさんが腕を振るっており、フレンチに北欧の要素が加わった料理が並ぶ。店内中央に堂々とそびえ立ち、「ロンドンでも指折りの充実したメニュー」とマネージャーが胸を張るバーには仕事帰りに立ち寄る客も多いという。中でもオリジナル・カクテル「ミスター・グレイ」が、偶然にも現在大人気の小説「フィフティー・シェーズ・オブ・グレイ」の登場人物を彷彿させるネーミングとあって、密かなブームなのだとか。刻一刻と移り変わるテムズ河の景色を愛でながら、しっとりとしたひとときを過ごしてみては。
写真下)Salmon Gravadlax(コースの一部)
Two Course Lunch £24.50 / Three Course Lunch £28.50
Two Course Dinner £40 / Three Couse Dinner £45
| 店名 | SKYLON @ Royal Festival Hall |
|---|---|
| 住所 | Belvedere Road, London SE1 8XX |
| TEL | 020 7654 7800 |
| 最寄り駅 | Waterloo駅より徒歩3分 |
| オープン | Restaurant 月~土 12:00-14:30 / 17:30-22:30 日 12:00-16:00 Grill 月~土 12:00-23:00 日 12:00-22:30 Bar 月~土 12:00-翌1:00 日 12:00-22:30 |
| Website | www.skylon-restaurant.co.uk |
観て食べて、五感で楽しむ特別な空間
The Yard Theatre
ガレージや駐車スペースの並ぶ閑散とした線路脇エリアの一角に、車の整備士とは明らかに異なる、おしゃれな人々が出入りする建物がある。パリで演劇を学んだ芸術監督ジェイ・ミラー氏が、「パリにある自由な芝居小屋をロンドンにも」と今年の4月にオープンした小劇場だ。倉庫を改造したという劇場に併設されたバー&キッチンには、廃材を利用したテーブル席にブランケットが敷かれ、アットホームな雰囲気。劇場内でもほかの劇場や交通機関で使われていた古い椅子が再利用され、手作り感があふれている。スタッフも芝居好きのボランティアが多く、何かわくわくとした期待と意欲を感じさせる場所だ。レストランのメニューは、芝居に合わせてシェフごと交代するというから興味深い。シェフは脚本を読み込むと、例えば「交錯する人々」というテーマなら、手を伸ばしてシェアできる料理を中心にメニューを組み立てる。一つのテーマを五感でたっぷり楽しむ、特別な夜が過ごせそうだ。
写真下)Wild Mushroom on Rye Bread Toast £4
A Lightly Spiced Casserole of Tender Pork Belly and Beans & Peas £4
| 店名 | The Yard Theatre |
|---|---|
| 住所 | 2A, Queen’s Yard, London E9 5EN |
| TEL | なし |
| 最寄り駅 | Hackney Wick駅より徒歩3分 |
| オープン | 火~土 18:00-21:30 日 15:00-20:00 月休 |
| Website | www.the-yard.co.uk |
取り壊し予定の倉庫を再利用
CLF Art Cafe
ロンドン南東部ペッカム・ライ駅前の、活気ある商店街の片隅にあるゲートをくぐり薄暗い小道を抜けると、グラフィティ・アートが施された廃校のような建物が現れる。都市開発のために取り壊しの危機にあった倉庫をアート施設として再生し、オープンしたのだそうだ。3フロアに屋上も加えた広々としたスペースでは、芝居、コンテンポラリー・アートなどの催しが定期的に行われており、週末には音楽イベントも目白押しだ。バーではカリビアン、アフリカンを中心とした軽食が用意されているが、現在のところのメインはドリンク。ラムとジンがベースの一押しオリジナル・カクテル「エルダー・ブッシー」は、ふわっと軽いライムのさわやかな香りとラムのまろやかさのバランスが絶妙。今年でオープン5周年。「もっと色々なイベントに挑戦したいし、フードも充実させていくよ」というマネージャーでDJ のミッキーさんの弁は、エキサイティングな発展を予感させる。
写真右)Elder Bussey £6.50, Red Stripe £3.50
写真下)Sausage Roll £2.50, Spinach and Chickpea Pastry £2.50
| 店名 | CLF Art Cafe |
|---|---|
| 住所 | 133 Rye Lane, London SE15 4ST |
| TEL | 020 7732 5275 |
| 最寄り駅 | Peckham Rye駅より徒歩1分 |
| オープン | 月~木 17:00-深夜 金 17:00-翌4:00 土 17:00-翌6:00 日休 |
| Website | www.clfartcafe.org |
取材: Sayaka Hirakawa ②〜④⑦ / Tora Chestnut ①⑤⑥⑧
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在留届は提出しましたか?


初めて買ったロックのレコードは何だったか覚えていますか。



ご家族はロンドンでの生活をどのように捉えていらっしゃいますか。



SENSHUKAI presents


演奏中はどんなことを考えているのですか。また即興演奏に関しては、日によってその内容が随分と異なるものなのでしょうか。
演奏の良し悪しをめぐってメンバー同士で話し込んだりすることはありますか。またそうした長年のキャリアを築いてきた方たちにNGを出したりするのは難しくないのでしょうか。

オープン・ハウスの歴史

うろ覚えの単語や言い回しも、面と向かってのやり取りなら

北京パラリンピックで英国中の注目を集めたのが、競泳のエレノア・シモンズ選手だった。当時、まだ13歳。100メートルと400メートル自由形で金メダルを獲得し、国民的な英雄に。その後は、テレビや雑誌に引っ張りだことなり、史上最年少となる14歳で大英帝国勲章(MBE)を授与されるなど、一躍、時の人になった。
先天性の障害のために腓骨がない状態で生まれ、生後一年足らずで両足の膝から下を切断。しかし、ラグビー、水球、テニスからレスリングなどの競技を通じて、学生時代からスポーツ万能ぶりを発揮していた。
いわゆる「フットワーク」に相当する、「チェアワーク」と呼ばれる車いすを使った移動の俊敏さが抜きんでている。車いすテニスにおいては2バウンドまでの返球が認められているが、国枝慎吾選手は1バウンドで返球する割合が圧倒的に高い。そのペースの速さに、ほとんどの対戦相手はついていけない。



5ツ星ホテル「ザ・リッツ」や、高級デパート「フォートナム&メイソン」と同じ並びにあるブラッスリー。その立派な外観に、さぞ伝統があり格式高いのだろうと恐れをなしてしまいそうだが、オープンは意外にも2003年。元々は車のショールームとして1921年に建設されたものを、アールデコ様式の内部のイメージはそのままに、有名レストラン「ジ・アイビー」の仕掛人クリス・コービンとジェレミー・キングが、新たな伝統を作り出そうと立ち上げた。メニューは奇をてらうものではなく、ヴィクトリア時代から親しまれている伝統料理がメイン。「ケジャリー」という耳慣れない料理は、その昔、大英帝国が植民地インドの料理を英国風にアレンジしたという一品だ。ほぐしたタラが入った炊き込みご飯で、ほのかにカレーが香るところがインドらしい。フォークの先で半熟卵を崩し、流れ出た濃厚な黄身とともにいただこう。良質な空間で夜をしっとりと過ごしたいときに。
コベント・ガーデンの交通博物館裏手にある狭い間口のエントランスは、派手な看板もネオンもなく、知らなければ気付かずに通り過ぎてしまう確率が高い。薄暗い階段を地下に下りると、タバコの煙が似合いそうなセピア色の店内に、清潔感のある白いクロスが掛かった丸テーブルが並ぶ。卓上にはケチャップの瓶が置かれ、リラックスした雰囲気だ。米ニューヨークの劇場街に本店が、パリに支店がある。ロンドン店は1977年にオープンしたが、この街のエッセンスが詰まった魅力的な空間は、35年という年月を経てこそでき上がったものと言えそう。ステーキが有名だが、隠れた人気メニューはハンバーガー。しっかり身の締まったビーフを、ホームメイドのブリオッシュ風バンズがサポートする、飾り気がなくシンプルな大人のためのバーガーだ。片隅で静かに演奏されるジャズのピアノとともに楽しみたい。日本からのゲストを案内したら、喜んでくれること間違いなし。
季節の食材を生かした手頃な価格のメニューで、ロンドン東部のショーディッチ地区で人気を誇る一店。グレーと白で統一されたスタイリッシュな店内は、近隣で働くクリエイティブな人々だけではなく、シティのビジネスマンも引き寄せている。前菜のチコリ・サラダは、スコットランド産ブルーチーズ「ストラスドン」と、ローストされたヘーゼルナッツの味のバランスが完璧。爽やかで涼しげな見た目も美しく、作り手が楽しんでいるのが感じられるほどだ。マヨネーズとゆで卵をトッピングして食す「コーニッシュ・クラブ」は、カニ味噌とほぐれた身が意外な程たっぷり入って、魚介好きの日本人なら悶絶してしまいそう。ウェールズのアングルシー島近海で獲れたスズキは、素材の良さを壊さない適度な味付けで、日本の焼魚に限りなく近い味わいだ。軽く炙って焦げ目を付けたホタテはクリーミーなマッシュ・ポテトと一緒に。贅沢な夜更かしに時間を忘れて興じたい。
オックスフォード・ストリートにあるデパート「デベナムズ」真裏に位置するレストラン。窓のない建物の前で若い人たちが行列を作っている様子は、クラブなのかと勘違いするほど。中に入るとやはりクラブかギグ会場並みの暗闇で、目が慣れてくると次第に、皆が何かを頬張る姿が赤いライトの中に浮かび上がってくる。メニューの表記が面白く、例えば「ウサギのエサ」というのはベジタリアン・メニューのこと。「バッファロー・チキン・バーガー」の説明書きには、「ホット・ペッパー・ソースをどっさりかけたダーティーなチキン・バーガー」とある。ベーシックな「チーズ・バーガー」は、紙を敷いたトレイにそのまま置かれ、溶けたチーズがねっとりと牛肉を覆う、まさにアメリカン・スタイルだ。オニオン、ピクルス、ケチャップ、マスタード入りで、口の周りがメチャクチャなことになるけれど、暗いので大丈夫。暗闇で味わう罪悪感が何とも魅惑的な一店だ。
現在ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」を上演中の、プリンス・エドワード・シアターの向かいに位置するレストラン・バー。同性愛者のメッカと言われる通りにあるが、客層は実に多彩。買い物帰りの年配のご婦人2人組から、海外からの観光客、真剣に話し込むサラリーマンまで、国籍・年齢・性別を問わず、それぞれに自分の時間を楽しむ姿がいかにもロンドンらしい。メニューは無国籍で、「スモール・プレート」は各5ポンド、3つオーダーすれば13ポンドというお得な仕組みだ。「スモール」と言ってもタパス・サイズではなく、少食な人には十分とも言える量。たっぷりのフムスと山盛りのルッコラ、プチ・トマトの載ったフラット・ブレッドに至っては、2人でシェアしなければ食べ切れないほどだ。ほかにも、チップスかサラダが付く「ソルト・ビーフ・サンドイッチ」が9ポンドなど、比較的良心的な値段設定なのがうれしい。カクテルも多種そろう。
24時間オープンというロンドンでも珍しいこちらは、最近改装が終わってリニューアル・オープンしたばかり。アメリカン・ダイナー風のインテリアは、例えそれが真夜中であろうとも、女性客がふらりと入れるような気軽な雰囲気だ。24時間サーブされるブレックファスト・メニューや、フィッシュ&チップス、バンガーズ( ソーセージ)& マッシュといった軽食類のほか、ステーキなどのしっかり食べられるメニューまでそろっている。「サーロイン・ステーキ・サンドイッチ」は、食べやすいように小さくカットされたステーキがびっしりはさまり、甘いオニオンとホースラディッシュがその味を引き立てる食べ応えのある一品。フランス・パン風のざっくりとした食感のバンズを使うのは、具材のうまみや水分が急激にパンに染み込まないための工夫だろう。プチプチしたザクロの実や、柔らかな甘みのバターナット・スクウォッシュが入ったカラフルなサラダもお勧め。アルコールもそろっている。
ロンドン北部のカムデン・ハイストリートを一本奥に入ったところにある、ギリシャ料理の専門店。1967年のオープン以来、地元にしっかり根付いている、小さいながらもチャーミングなレストランだ。魚やラムのグリル、オードブルのタラモサラタなど伝統的なメニューが並ぶが、自慢の魚料理は本国ギリシャから週3回鮮魚を仕入れているそうで、「魚の好きな日本人なら、きっと違いを分かってくれるはず」とギリシャ人オーナーは胸を張る。シーバスのグリルは、ギリシャ特有の爽やかなハーブのシーズニングで軽く味付けされており、レモンをきゅっと搾っていただけば、冷えた白ワインとの相性も◎。店の一番人気というラム料理「クレフティコ」は、柔らかい肉が口の中でほろほろと溶けていく大満足の一品だ。このシンプルで良質な家庭料理を思わせる気取りのない料理が、地元で愛され続ける理由なのかもしれない。中庭にはテラス席があり、夏の夜を過ごすのに最適。
タジン鍋やクスクスなどで、日本でも定着しつつあるモロッコ料理。そのモロッコ料理を飛び切りエキゾチックな内装に囲まれて食べられるのがこちらのお店だ。レストラン、カフェ、テラス、そして地下にはバーと、4つのスペースに分かれているが、いずれもアラビアン・ナイトを思わせる薄暗い洞窟のようなインテリアで、落ち着いてゆったりと過ごせる。「クスクス・モモ」は、クミンやコリアンダー、シナモンなどのスパイスを使った子羊のすね肉の煮込みに、ピリッと辛いメルゲーズ・ソーセージと炭火焼の小さな羊肉が付き、さらにクスクスがセットになった豪華な一品。お腹を空かして行っても満足すること請け合いだ。また、本来モロッコはアルコールご法度のイスラム圏だが、こちらはカクテルも有名。「モモ・スペシャル」はウォッカのベースにミントとレモン・ジュースが入った、ミント・ティーのアルコール版。すっきりした甘さが料理ともよく合う。






