朝早くから夜遅くまでの長時間労働に加えて、厳しい師弟関係や罵声が飛び交う職場環境が一般的とされる料理人の世界は、究極の男性社会であると言われてきた。ところが、そんな業界を生き抜くタフさを備えながら、繊細かつ創造的な料理を作り続ける女性シェフがこのロンドンにはたくさん存在する。そこで今回は、有名な女性シェフが働くロンドンのレストランを紹介する。
「世界の味」が隠し味
The Modern Pantry
Chef Anna Hansen MBE
レストラン界での業績を称えられ、王室から大英帝国勲章(MBE)を与えられたアナ・ハンセンがオーナー・シェフを務める「モダン・パントリー」。カナダ生まれ、ニュージーランド育ち、敬愛する祖母は北欧人という背景から自然と身に付いた、ボーダーレスかつグローバルな食材のセレクトが彼女の料理の特徴だ。ラムやホタテ、ポークなどありふれた食材に、ゆず、味噌、溜まり醤油など日本の調味料や、中東のフルーツ・ハーブ、ときにはチョコレートや北欧のお菓子リコリスなどを使った全く新しいアプローチを用いて、計算し尽くされたおいしさを提供する。ロンドン中心部クラークンウェルにあるジョージアン様式のタウンハウスを改装した店内は、すっきりとした北欧風のモダンなインテリアが気取らず落ち着いた印象。オリジナルのエコ・バッグを始め、テーブルに並んだペストリー、デリの総菜やスープなど、お持ち帰りできる品々もお勧め。
写真左上から時計回りに、
Pulled Tamworth Pork, Coconut Flat Bread, Celery & Apple Slaw
£7.50
Seared Diver Caught Scallops, Jerusalem Artichoke Puree, Picked Carrot & Orange Salad
£8.70
Mojo Marinated Lamb Rump, Anchovy Roast Delica Pumpkin, Purple Sprouting Broccoli, Kalamata Olive Salsa
£21.50
| 店名 | The Modern Pantry |
|---|---|
| 住所 | 47-48 St John's Square London EC1V 4JJ |
| TEL | 020 7553 9210 |
| 最寄り駅 | Farringdon駅から徒歩10分 |
| Website | www.themodernpantry.co.uk |
| オープン | ランチ: 月 12:00-15:00、火~金 12:00-15:00、 土 11:00-16:00、日 11:00-16:00 ディナー: 月〜土 18:00-22:30(カフェは午前中から営業) |
写真・取材 Sayaka Hirakawa
環境にも配慮したストリート・フード
Wahaca
Chef Thomasina Miers
ジャンクなメキシコ料理のイメージを覆し、風味豊かな新鮮食材を用いた新しいメニューで、TV番組「マスターシェフ」を勝ち抜いたトマジーナ・ミアーズ。その後も料理番組のプレゼンターとして活躍していた彼女が、2007年に「ワハカ」をオープン。今やロンドンで10店舗以上を構える人気店となった。気軽に楽しめるメキシカン・ストリート・フードをコンセプトに、見た目が鮮やかで栄養素にもこだわった、豊富なメニューを展開している。人気のタコスは、国産のチキンやビーフを挟んだものが人気だが、香ばしいバナナ・プランテンにブラック・ビーンズを添えた一品も、まさにラテンの味。メキシコ風のチーズ・フォンデュは、グルテン・フリーのトルティーヤ・チップスにつけて。ぴりりとした食感のサボテンのピューレが隠し味。良心的な価格設定でありながら、サステイナビリティ(持続可能性)へのこだわりや、食料廃棄物ゼロを目指した環境に配慮した企業姿勢も評判の良さを裏付ける。
左上段から時計回りに、
Queso Fundido £4.85
Plantain Taco £3.95
Green Tenderstem Broccoli £3.95
MSC Herring £4.15
| 店名 | Wahaca |
|---|---|
| 住所 | 68-69 Upper Street, Islington London N1 0NY(ロンドン各地に支店あり) |
| TEL | 020 3697 7990 |
| 最寄り駅 | Angel駅から徒歩15分 |
| Website | www.wahaca.co.uk |
| オープン | 月~金 12:00-23:00、土 9:00-23:00、日 9:00-22:30 |
写真・取材 Sayaka Hirakawa
気取らずおいしい小皿料理を
Spuntino
Chef Rachel O'SullivanE
米ニューヨークはブルックリンのダイナーを模した「スパンティーノ」は、ソーホーで人気の「ポポロ」など、話題のレストラン・バーを手掛けるラッセル・ノーマンによる3号店。レンガむき出しのインダストリアルな雰囲気の空間に、カウンターのみが27席。予約を取らないポリシーを掲げる同店は、毎晩グラスを片手におしゃべりと料理を楽しむ人々でいっぱいだ。ここで腕を振るうのは、オーストラリア出身の女性シェフ、レイチェル・オーサリヴァン。豪メルボルンで培った感性が、イタリアン・アメリカンをテーマとした小皿料理に広がる。定番家庭料理のマック&チーズが一番人気というが、香ばしいトリュフ・オイルと卵の黄身を真ん中にのせた厚めのチーズ・トーストもシンプルながら抜群のおいしさ。甘いものに目がない人なら、濃厚ピーナッツ・バター・アイスクリームでラズベリー・ジャムを挟んだサンドイッチをお試しあれ。アメリカンな甘さと、さわやかな酸味のハーモニーがクセになるはず。
左)Truffled Egg Toast £6
下左から2番目)
Peanut Butter & Jelly Sandwich
£6
| 店名 | Spuntino |
|---|---|
| 住所 | 61 Rupert Street London W1D 7PW |
| TEL | なし |
| 最寄り駅 | Leceister Square駅から徒歩10分 |
| Website | www.spuntino.co.uk |
| オープン | 月~水 12:00-0:00、木~土 12:00-翌1:00、日 12:00-23:00 |
写真・取材 Sayaka Hirakawa
インターン生からの叩き上げ
Le Gavroche
Chef Rachel Humphrey
英国初のミシュラン3ツ星獲得店であり、「最も高級な料理」を提供するレストランとしてギネス・ブックにも登録された超高級店。現シェフのレイチェル・ハンフリーは、インターン生からヘッド・シェフまで上り詰めた。

写真 野尻翔冬
| 店名 | Le Gavroche |
|---|---|
| 住所 | 43 Upper Brook Street London W1K 7QR |
| TEL | 020 7408 0881 |
| 最寄り駅 | Marble Arch駅から徒歩10分 |
| Website | www.le-gavroche.co.uk |
| オープン | ランチ: 月~金 12:00-14:00 ディナー: 同 18:00-22:00、土 18:00-22:00 |
英国を代表する女性シェフ
Restaurant Gordon Ramsay
at Royal Hospital Road
Chef Clare Smyth MBE
ミシュランの3ツ星を獲得、女性シェフとしては英国史上初めてMBEを受勲したクレア・スミス。ゴードン・ラムジーのレストラン・グループの一つであるこの超高級店では、シェフ・パトロンを務める。

写真 野尻翔冬
| 店名 | Restaurant Gordon Ramsay at Royal Hospital Road |
|---|---|
| 住所 | 68 Royal Hospital Road London SW3 4HP |
| TEL | 020 7352 4441 |
| 最寄り駅 | Sloane Square駅から徒歩15分 |
| Website | www.gordonramsay.com/royalhospitalroad |
| オープン | ランチ: 月~金 12:00-14:15 ディナー: 同 18:30-22:15 |
ゴードン・ラムジーの愛弟子
Murano
Chef Angela Hartnett MBE
英国随一のセレブ・シェフ、ゴードン・ラムジーの愛弟子として知られるアンジェラ・ハートネット。ラムジーが経営するレストランでミシュラン星を獲得した彼女が、創造性にあふれたメニューを提供している。

写真 野尻翔冬
| 店名 | Murano |
|---|---|
| 住所 | 20 Queen Street London W1J 5PP |
| TEL | 020 7495 1127 |
| 最寄り駅 | Green Park駅から徒歩5分 |
| Website | muranolondon.com |
| オープン | ランチ: 月~土 12:00-15:00 ディナー: 同 18:30-23:00 |
あの映画のモデルになった
Connaught
Chef Hélène Darroze
ロンドンの老舗ホテルのコノートが、パリでミシュランの2ツ星を獲得したエレーヌ・ダローズを招聘。映画「レミーのおいしいレストラン」のモデルにもなったこのセレブ・シェフによる高級フランス料理が味わえる。

写真 野尻翔冬
| 店名 | Connaught |
|---|---|
| 住所 | The Connaught, Carlos Place, Mayfair London W1K 2AL |
| TEL | 020 7107 8880 |
| 最寄り駅 | Bond Street駅から徒歩10分 |
| Website | www.the-connaught.co.uk/mayfair-restaurants/helene-darroze |
| オープン | ランチ: 火~金 12:00-14:00、土: 11:00-14:30 ディナー: 火~土18:30-21:30 |
素材を生かす技術に定評あり
Petersham Nurseries Café
Chef Cat Ashton
重要職の大多数を女性が占めるこの菜園内のカフェでヘッド・シェフを務めるのが、弱冠25歳のオーストラリア人女性、キャット・アシュトン。菜園で採取された新鮮な素材を生かす技術に定評がある。

写真 野尻翔冬
| 店名 | Petersham Nurseries Café |
|---|---|
| 住所 | Church Lane, Off Petersham Road, Richmond Surrey TW10 7AG |
| TEL | 020 8940 5230 |
| 最寄り駅 | Richmond駅から徒歩20分 |
| Website | www.petershamnurseries.com |
| オープン | 月~土 9:00-17:00、日 11:00-17:00 |
「サリーのお勧め」はいつも絶品
Clarke's Restaurant & Bar
Chef Sally Clarke MBE
パリやカリフォルニアで修業を積んだ後、自身の名前を冠したレストランをロンドンで開店したサリー・クラークもMBE受勲者。「サリーのお勧め」と題した3コース・メニューが人気。別店舗でベーカリーも運営している。

写真 野尻翔冬
| 店名 | Clarke's Restaurant & Bar |
|---|---|
| 住所 | 122 & 124 Kensington Church Street London W8 4BH |
| TEL | 020 7221 9225 |
| 最寄り駅 | Notting Hill Gate駅から徒歩5分 |
| Website | www.sallyclarke.com |
| オープン | ブレックファスト: 月~土 8:00-12:00 ランチ: 月~金 12:30-14:00、土 12:00-14:00 ディナー: 月~土 18:30-22:00 |



在留届は提出しましたか?








































人生の記念にと生まれて初めて船旅に参加した人、一年の半分以上を船上で過ごす人。数千人もの人々をのせた船は、最終日前夜、真っ暗な海をしぶきを上げつつひたすら進んでいる。船尾にある部屋のベランダからは、くっきりと北斗七星が見える。明朝にはサウサンプトンの港に到着すると思ったとき、心に浮かんだのは何より、船を楽しみ、人生を謳歌している人たちとの別れを惜しむ気持ちだった。船旅の魅力の、ほんの一端を味わうことのできた5日間。船の達人、人生の達人までの道のりは、まだ始まったばかりだ。
ソチ五輪における


















外装やインテリアそのものが鑑賞に値する展示物のようなつくりとなっている、デザイナーズ・ホテル。多種のサービスが行き届いた大手ホテル・チェーンや、場合によっては宿の主人との個人的な交遊さえ深めることのできるB&B での宿泊も良いけれど、たまには趣向を変えて、デザイナーズ・ホテルに泊まってみるのもいい。
数えきれないほどのホテルが存在するロンドン市内にはデザイナーズ・ホテルもたくさんあるが、やはり相当に割高であるというのが現実。そこでここでは100ポンド前後で利用できる場所に加えて、ロンドン在住者が宿泊せずとも気軽に利用できるサービスを提供するデザイナーズ・ホテルを紹介する。






















ロンドン中心部のハイド・パークで開かれる「ウィンター・ワンダーランド」は、クリスマス・グッズを販売するストール以外にも様々な仕掛けや催し物がいっぱい。観覧車、アイススケート場、絶叫マシーン、マジック・ショー、DJ ブースなど、遊園地並みの大掛かりで充実したアトラクションが用意されている。また昨年好評だった氷の彫刻の展示スペースを今年は2倍に拡大。敷地内には飲食スペースもそろっているので、家族や友達と出掛ければ優に半日以上を過ごすことができる巨大なエンターテインメント施設となっている。
19世紀にタバコの倉庫として建設された建物をイベント・スペースとして再開発したロンドン東部の「タバコ・ドック」では、食べ物に特化したクリスマス・マーケットが実施される。入場券が若干割高にも思えるが、いったん入場してしまえば敷地内にあるほぼすべての食べ物の試食が無料。しかもそれらの試食品は、ミシュランの2ツ星を獲得したセレブ・シェフのミシェル・ルー・ジュニアや高級インド・レストランの「シナモン・クラブ」などがプロデュースしているものなので、実はかなりお得な料金設定となっている。
テムズ河に架かる跳開橋タワー・ブリッジ付近一帯を「モア・ロンドン」と呼ぶ。ロンドン市庁舎を始めとする近代的なビルが立ち並ぶこの地区でもクリスマス・マーケットが開催。ほかのクリスマス・マーケットとの一番の違いは、世界中から商品が集まるロンドンにしては珍しく、同地区を拠点として活動する、食べ物、ファッション、土産物の店舗や業者が中心となってストールを出店しているということ。また本物のトナカイも登場。夜空の下でライトアップされたタワー・ブリッジの麓で、クリスマスの雰囲気をたっぷりと味わうことができるはず。
ユネスコの世界遺産に指定されている、ロンドン西部の巨大な植物園キュー・ガー
デンズは、毎年冬になるとクリスマスにちなんだユニークな催しを開くことで知られている。今年の冬には、また新たな試みを開始。園内の湖沿いに英国人アーティストが製作したインスタレーション作品を並べ、日没後は約1.6キロに及ぶこの小道をライトアップする。冬の大自然とアートと光が融合した幻想的な光景は、ロンドンの新たな観光スポットとなるはず。食べ物のストール、メリーゴーランド、サンタ小屋、音楽の生演奏など、毎年恒例のアトラクションも充実している。
ロンドン中心部を流れるテムズ河の南岸沿いで開かれるクリスマス・マーケット。巨大観覧車ロンドン・アイから多目的施設のサウスバンク・センター前まで続く道に約80軒のストールが並ぶ。また一日に2回、聖歌隊の合唱が披露され、無料で見学可。さらにウォータールー駅側の入り口前ではほかにもたくさんのマーケットを開催しており、甘党を惹きつける「チョコレート・フェスティバル」や各地の特産物ばかりを集めた「リアル・フード・マーケット」、さらにはデザイナー商品を集めたマーケットなどの企画が目白押しだ。
DJが奏でる音楽に耳を澄ませ、カフェで提供されるケーキを頬張りながら、デザ
イナー・グッズの買い物を楽しむというユニークな趣向を打ち出すマーケット。しかもストールに並ぶのは、こだわりの品ばかり。70人に及ぶ英国人デザイナーがハンドメイドで制作した作品には、それぞれ創作のきっかけや制作の苦労といったストーリーがたっぷりと詰まっているのだという。デザイナー本人から指導を受けながらグッズ作りを体験できるワークショップに加えて、子供たちも一緒に楽しむことができる切り絵教室も開催される予定。
イタリアの著名シンガー&ソング・ライターであることに加えて、ピアニスト、画家、弁護士としても活動するという特異な肩書きを持つパウロ・コンテ。古き良きイタリア映画のサウンドトラックとして流れてきそうな渋い歌声が特徴だ。甘美なメロディーに合わせて「ドゥ・ドゥ」とささやくスキャットが印象的な彼の「イッツ・ワンダフル」は不朽の名曲。
プランBやディジー・ラスカルなどといった英ヒップホップ界のアーティストたちとも数多くの共演を果たしているライオット・ジャズ・ブラス・バンド。マンチェスター出身のメンバーが編成するこのブラス・バンドが、ファンク、ソウル、ヒップホップなどをごちゃ混ぜにした音楽で盛り上げる。クラリネット奏者のシャバカ・ハッチングスが前座として登場。
世界で最も権威ある音楽賞とされるグラミー賞を3回も受賞した超一流のベーシストが、クリスチャン・マクブライドだ。音楽の名門校ジュリアード学院を卒業し、40歳の時点で既に300以上の録音に参加、「最も多くの録音を行ったジャズ・ミュージシャン」との称号を得た売れっ子ミュージシャンの演奏を生で観賞することができる稀有な機会。
バーミンガム出身、弱冠20歳のルーベン・ジェームズは、英国のジャズ界で神童扱いを受けている若手ピアニスト。ジャズ、ゴスペル、ヒップホップ、クラシック音楽を取り混ぜた独創的な演奏で知られる。海外での注目も高まっていることから、「606クラブ」のような小規模のジャズ・バーで彼の姿を見られるのも今後は少なくなっていくかもしれない。
米ピアニストのブラッド・メルドーが、ドラム奏者のマーク・ジュリアナとコラボを行う。予め決められたルールなしに、アドリブを果てしなく続けるという形式で演奏を披露。ジャズをジャズたらしめているアドリブの魅力を十分に堪能できるパフォーマンスとなるはず。アフリカ・南米系の音楽を組み合わせた「サンズ・オブ・ケメット」とのダブル・ビル。
ロンドンで毎年夏に開催される音楽の祭典「プロムス」にも出演歴のあるウェールズ出身のピアニスト、グウィリム・シムコックが登場。大手ピザ・チェーン店「ピザ・エクスプレス」が所有するジャズ・バーで演奏を繰り広げる。複雑かつ高度な音楽理論を駆使して奏でられる彼のメロディーが、ピザが行き来する少々猥雑な会場に響きわたる、異色の音楽空間となるはず。
「浪人」という日本語を名とするこのバンドは、過去に「乱取り」「非思量」といったタイトルのアルバムを発表し、CDのジャケットには葛飾北斎の浮世絵を使用するなど日本文化から多大な影響を受けているのだという。自らの音楽ジャンルを「禅ファンク」と表現する、摩訶不思議なバンドが今年のロンドン・ジャズ・フェスティバルに参加する。














